過去にツイートしたリアルタイムバトル将棋の次の一手(数手)問題のまとめ記事です!
出題編の後に解説編のツイートを入れていますので、初見の方は解説の前に考えてみてください。
最後にちょっと解説の追記のようなものも入れてあります。
1問目
【お試し】リアルタイムバトル将棋次の一手(数手)問題。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月11日
5八金と王手を打ち込まれた場面での対応。
※リアルタイムバトル将棋のルール
・先手後手の概念がなく、一度に何手でも駒を動かしていい
・ただし一度動かした駒はクールタイムが発生し連続では動かせない(王歩3秒、香桂4秒、金銀飛角6秒) pic.twitter.com/NnHpPnQiKX
ゲーム画面の方では符号が表示されていないのでこちらで。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月11日
正解を当てる問題というよりは、いろいろな考え方を知ってもらうための問題って感じです。
なのでこのゲームに詳しい人ほど逆に迷う問題かもしれません。 pic.twitter.com/rihyqrlIjC
この後投票機能を使って選択肢を表示しましたが、投票結果でネタバレになる感もあるので手動で。
・5七歩~
・5八王~
・6八王~
・その他
-
以上が選択肢です。
-------以下1問目解説編-------
答え合わせです。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
まず5七歩。
5七歩、5八王とすることで金に対する飛車の利きを遮断して安全にすることができます。
この場面で一番狙いたい手であると言っていいと思います。
ただし、こちらの5七歩打ちよりも先に、相手から5七に歩を打たれてしまう可能性があり、そうなると一転ピンチです。 https://t.co/dvmBmXCDfo pic.twitter.com/AYNCofQEoG
続いて5八王。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
5八王の直後に5七歩を打てれば飛車で王を取られずに済みます。
先に5七歩を指す場合よりも全体の操作時間が短く済むので実戦的な手段。
ただし、相手が飛車を選択して最速で王を取りに来た場合や、先に5七歩と打たれた場合は即敗北のリスクがあるため、相手のカーソルを見るのが前提。 pic.twitter.com/ooHTnJZHeF
続いて6八王。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
クールタイムの早さを活かした2回行動で逃げる選択で、安全重視の判断。
金駒、大駒での王手に対してこの凌ぎは非常に重要。6九王から7八王でもいいです。
ただし逃げるだけでは不利を覆せないので、これだけだとやや消極的にも見えます。 pic.twitter.com/OpUxmzzUxF
その他の選択肢としてはこんな手も一応あります。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
3六歩→3七金で飛車道を通しての5八飛車。
3手指しで操作が忙しいため最悪操作が追い付かず飛車で金を取る前に金で王を取られてしまうかもしれません。
また、このケースでも先に5七歩を打たれてしまうと5八飛車に5八歩成りと更に攻められます。 pic.twitter.com/DSS6PYDwZT
更にこんな手もあります。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
6五桂馬(もしくは8五桂馬)で角道を開けて5五角で根元の飛車を取ってからの5八王。
こちらも操作が忙しいうえに、角で飛車を取っている間に5七歩を打たれてしまうと5八王と金が取れなくなってしまいます。 pic.twitter.com/PzZ4Mre9uj
では相手が5七歩を打ってきたケースを実際に見てみましょう。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
5八に金を打った直後なので、持ち駒カーソルが金の位置になっているため歩の打ち込みに若干手間取ります。
とはいえほとんど猶予はありません。
こちらの5七歩打ちに先んじられる可能性があり、5八王と噛み合ってしまうとかなり危険です。 pic.twitter.com/CVL2JEzrTV
ということで今回の問題の私の回答としては、一旦6八王を入れて安全度を上げてから5七歩を狙います。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
先に6八王を入れることで、もしこちらが先に5七歩を打てなくても7八に逃げたり、5九歩や3六歩3七金からの5八飛車などでカバーが効くという考えです。
5七歩が打てた場合は4八銀などで補強もしたい。 pic.twitter.com/UblT3dNYAR
ちなみにこれは相手が自分と同等程度の実力の持ち主であると仮定した場合の判断です。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
操作や指し筋が甘い相手なら迷わず先に5七歩を入れると思います。
同じ盤面であっても自分と相手の操作力や指し筋、カーソルの位置などから判断を変えていく必要があるというのが、RTB将棋ならではかと思います。
その他の選択肢として挙げた2つの手段は手間がかかりますが、状況によってはこういう大駒を使った意表を突く一撃が試合展開を左右したりもします。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
ここで大事なのが、選択肢を思いついたとして自分の操作力で限られた時間内にその操作が間に合うかどうかの判断ができるかどうか、ということです。
実戦においてはこれが凄く重要で、そのためには自分の操作力の限界を正確に把握する必要があります。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
駒の利きやクールタイムを見切る力と合わせて、経験を積めば積むほどこの部分の精度が上がっていって、より有利な判断を実行しやすくなると思います。
ということで長くなりましたがこれで終了です。
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月12日
リアルタイムバトル将棋のプレイはこんな感じで、瞬間瞬間の場面でいろいろ考える要素があって、それがこのゲームの難しいところであり、同時におもしろいところでもあると思っています。
ちなみに投票結果はこうなっていました。
(投票機能初めて使います)
— まこと’ (@makotodash) 2022年8月11日
2問目
リアルタイムバトル将棋次の一手(数手)問題、実戦編。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月1日
3月に行われた銀星戦の決勝戦、れお君対やましゅ君の第一試合から。
れお君側が王様を前に繰り出していますが、全体的に駒損していて攻め切れるかどうか微妙な状況。
この後、衝撃の一手が飛び出しました。それを考えてみてください。 pic.twitter.com/LvHdWJQcxp
盤面はこうなっています。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月1日
やましゅ君側のカーソルは5二の位置にあり、この直後銀打ちで中央を補強する動きを見せています。
(7三のと金で王手がかかっているのはもちろん把握していますが、クールタイムにまだ余裕があるのですぐには対処しないという判断)
上級者向けの難問です。 pic.twitter.com/NVl0dMQAz2
ちなみにこの試合はトライルールという特殊ルールが採用されているため、5一と5九が光っていますが、この問題では関係ないので考慮する必要はありません。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月1日
ヒントとしては、常識を捨ててみてください。
正解及び解説は明日の今頃に。
一枚目動画を貼ったつもりだったのに画像になっていました。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月1日
試合の流れはこんな感じです。 pic.twitter.com/lXywmuLJlJ
-------以下2問目解説編-------
正解はなんと7ニ王!
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月2日
7ニの歩を取ることで相手の7三歩をなくし、取られなくなった7三のと金で相手の王を取る。
王様同士が接触する一見無謀なようにも見える手です(実際CPU相手に同じことをやったら即王様を取られて負けです)。
しかし実は高度な判断に裏打ちされた一手です。#リアルタイムバトル将棋 pic.twitter.com/LpegPDLmUD
何故この手が成立するかというと、人間には反応速度の限界があるからです。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月2日
この場面でやましゅ君は7三歩という指す予定だった手を潰され、なおかつ7ニ王という取れば勝ちの駒を突如目の前に突きつけられています。
7二玉と取り返さなくてはいけないのですが、予想外の手に思考が一瞬止まります。 pic.twitter.com/d7rWbZiMzP
れお君はこういった理屈で相手の反応が遅れるであろうことを熟知したうえでこの一手を指しています。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月2日
相手が反応して自分の王様が取られるよりも、7三のと金の残り僅かなクールタイムが終了して、相手の王を取れる方が早い、という判断で指しているはずです。
反応速度を考慮した一手ということです。
指すのが早すぎても遅すぎてもダメで、本当にコンマ数秒の絶妙なタイミングで成立するという一手です。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月2日
これを実戦レベルで繰り出せるのがおそらく今のところれお君だけ。
これが成立するという発想が持てるという時点でまず凄いんですよ。
普通は危険すぎて指せない。まず思いつけない。
ということで今回は以上です。
— まこと’ (@makotodash) 2022年9月2日
この一手の凄さは一度解説してみたいと思っていました。言語化することで自分の中での考えも上手くまとまりましたね。
この試合の動画はこちらです。(開始時間指定済み)
【第61回】RTB将棋 eタイトル戦「銀星戦」https://t.co/uXhtRqPxbP
3問目
久しぶりにリアルタイムバトル将棋次の一手(数手)問題。
— まこと’ (@makotodash) 2023年1月18日
わりと重要な受けの手筋というか、本将棋にはない考え方の問題。
相手に金で王手をされたこの場面での対応を考えてみてください。
解説は後程。
【RTB将棋のルール】
一度に何手でも指せる
一度動かした駒はクールタイムが終わるまで動けない pic.twitter.com/50F0JD9KMs
-------以下3問目解説編-------
解説。
— まこと’ (@makotodash) 2023年1月18日
まずは7九玉と逃げる手。(6九、5九へ逃げる手も含む)
本将棋の考えだと真っ先に出てくる手です。
6七に打ち込まれた金を取ると後ろの歩で王様が取られてしまうので逃げるしかない…という考え方。
最低限の自衛手段として間違いとまでは言えませんが、相手の攻めが継続して不利になります。 https://t.co/jXkm8BE1zi pic.twitter.com/lHl6wygSGt
本将棋だとかなり厳しいこの攻めも、リアルタイムバトル将棋の受けの発想が身につけば凌ぐことができます。
— まこと’ (@makotodash) 2023年1月18日
根元の歩を抜く6六銀を決めてから、浮いた金を取る6七玉。
本将棋の感覚にとらわれているとなかなか見えない数手指しの受け、これが実戦で見えるようになると受けのレベルが一気に上がります。 pic.twitter.com/c08VYtfsRS
更にレベルが上がるとこういう手段もあります。
— まこと’ (@makotodash) 2023年1月18日
先に6七玉で金を取って、相手の歩で王様が取られる前に6六銀。
盤面上の駒の利きだけでなくクールタイム状況も見極めて、なおかつ十分な操作速度が出せるようになって初めて使える手段。
実はこれがめちゃくちゃ重要だったりしますが詳しい理由は文字数 pic.twitter.com/Nwnxw5i7kF
最後にこういうのもあります。
— まこと’ (@makotodash) 2023年1月18日
7八玉と真横に逃げてスペースを空けてからの6八歩打ち。
クールタイム差で後から打ち込んだ歩の方が先に動ける、確定反撃です。
この局面だとさほど必要ではありませんが、手厚く受けることができるため状況によっては非常に重要なテクニックです。 pic.twitter.com/HLlp56spSF
追記:相手の思考に負荷をかけろ!保留取りの極意
せっかくなので文字数の都合で省略した3問目の詳しい理由の部分の解説を少々。
かなり上級者向けの領域になりますが、何故これが重要かというとまず第一点としては少ない操作入力で実行できるということ。
実戦では高速のやり取りが行われるため、より早く実行できるというのがまず重要。
第二点としては相手の操作の選択肢を残しておくことで、相手の思考に一定の負荷をかけられるという点。
どういうことかというと、6七玉とこちらが金を取った状態で相手側の最善手は「クールタイムが終わったら6六の歩で王様を取る」です。
逆に言うと、こちらが6六銀と歩を取るまで相手側にはその選択肢が残っているということです。
それによって簡単に言うと相手の気を引けるわけですね。難しく言うと上で述べたように相手の思考に一定の負荷をかける、思考リソースを無駄に消費させる、なんて言い方もできます。
6七玉と金を取った場面。
相手の歩と王様だけに目を向けると、6六の歩のクールタイムが終われば6七と王様を取って相手の勝ちという状況。
この局面ではクールタイムにほとんど猶予がないので例としては分かりにくいが、こちらの銀でいつでも相手の歩を取って相手がやろうとしている操作を潰すことができる。つまり逆に言うと銀で歩を取る手を遅らせるとその間相手には操作の選択肢が残った状態になる。
実戦において盤面が複雑化している場合、こちらの見落としなどの可能性もあるため相手としては6六の歩を操作する選択肢をギリギリまで捨てることができない。
そのように相手側の選択肢をあえて残すことによって、他の選択肢について考える余裕を一定程度奪うことができる、という理屈。
こちらは先に銀で歩を取った局面。
厳密に言えばこの状態も王手がかかっているので相手の気を全く引けないわけではないのだが、王自身がいつでも動ける状態なので相手からすればこの金は取られたものと判断して、他の手段に思考を向けるのが自然となる。
この場面では取られる駒が王様ですが、王様以外の駒であっても同様で、すぐに取れる相手の駒をすぐに取らずにギリギリまで保留してから取ることで、相手の思考を無駄に消費させる効果が期待できます。
このゲームの対戦中はともかく見るところ考えるところが多く、リアルタイムに変化していく状況を逐一分析しつつ適切に取捨選択を行って対応していかなければなりません。
そんな中で相手に選択肢をなかなか捨てさせない、そうやって思考に余計な負荷をかけるというのは地味なようでかなり影響があります。書いてて思いますがなかなか嫌らしいですこれは。
解説している私自身、対戦中にこれを意識してできているかというとまだまだできていません。
特に王手がかかった状態の場合はすぐに抜け出したいと考えるのが自然なので、そもそも保留している余裕がなかなかなかったりします。
盤面及びクールタイム状況、並びに自分の操作速度を正確に把握できる総合的な実力があって初めてできるようになる技術であると言えます。
最強プレイヤーのレオ君はこれがめちゃくちゃ上手いです。
直接聞いたことはないけどかなり意識してやっているのではないかなあ。