リアルタイムバトル将棋次の一手(数手)問題のまとめ

過去にツイートしたリアルタイムバトル将棋の次の一手(数手)問題のまとめ記事です!
出題編の後に解説編のツイートを入れていますので、初見の方は解説の前に考えてみてください。
最後にちょっと解説の追記のようなものも入れてあります。

 

1問目

 

この後投票機能を使って選択肢を表示しましたが、投票結果でネタバレになる感もあるので手動で。
・5七歩~
・5八王~
・6八王~
・その他

  • 以上が選択肢です。
     

 

 

 

 

 

 

-------以下1問目解説編-------

 

 

 

 

 

 

 


ちなみに投票結果はこうなっていました。

 

 

 

 

 

2問目

 

 

 

 

 

 

 

 

-------以下2問目解説編-------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3問目

 

 

 

 

 

 

 

 

-------以下3問目解説編-------

 

 

 

 

 

 

 



 

追記:相手の思考に負荷をかけろ!保留取りの極意

せっかくなので文字数の都合で省略した3問目の詳しい理由の部分の解説を少々。
かなり上級者向けの領域になりますが、何故これが重要かというとまず第一点としては少ない操作入力で実行できるということ。
実戦では高速のやり取りが行われるため、より早く実行できるというのがまず重要。
第二点としては相手の操作の選択肢を残しておくことで、相手の思考に一定の負荷をかけられるという点。
どういうことかというと、6七玉とこちらが金を取った状態で相手側の最善手は「クールタイムが終わったら6六の歩で王様を取る」です。
逆に言うと、こちらが6六銀と歩を取るまで相手側にはその選択肢が残っているということです。
それによって簡単に言うと相手の気を引けるわけですね。難しく言うと上で述べたように相手の思考に一定の負荷をかける、思考リソースを無駄に消費させる、なんて言い方もできます。

6七玉と金を取った場面。
相手の歩と王様だけに目を向けると、6六の歩のクールタイムが終われば6七と王様を取って相手の勝ちという状況。
この局面ではクールタイムにほとんど猶予がないので例としては分かりにくいが、こちらの銀でいつでも相手の歩を取って相手がやろうとしている操作を潰すことができる。つまり逆に言うと銀で歩を取る手を遅らせるとその間相手には操作の選択肢が残った状態になる。
実戦において盤面が複雑化している場合、こちらの見落としなどの可能性もあるため相手としては6六の歩を操作する選択肢をギリギリまで捨てることができない。
そのように相手側の選択肢をあえて残すことによって、他の選択肢について考える余裕を一定程度奪うことができる、という理屈。

 

こちらは先に銀で歩を取った局面。
厳密に言えばこの状態も王手がかかっているので相手の気を全く引けないわけではないのだが、王自身がいつでも動ける状態なので相手からすればこの金は取られたものと判断して、他の手段に思考を向けるのが自然となる。



この場面では取られる駒が王様ですが、王様以外の駒であっても同様で、すぐに取れる相手の駒をすぐに取らずにギリギリまで保留してから取ることで、相手の思考を無駄に消費させる効果が期待できます。
このゲームの対戦中はともかく見るところ考えるところが多く、リアルタイムに変化していく状況を逐一分析しつつ適切に取捨選択を行って対応していかなければなりません。
そんな中で相手に選択肢をなかなか捨てさせない、そうやって思考に余計な負荷をかけるというのは地味なようでかなり影響があります。書いてて思いますがなかなか嫌らしいですこれは。

解説している私自身、対戦中にこれを意識してできているかというとまだまだできていません。
特に王手がかかった状態の場合はすぐに抜け出したいと考えるのが自然なので、そもそも保留している余裕がなかなかなかったりします。
盤面及びクールタイム状況、並びに自分の操作速度を正確に把握できる総合的な実力があって初めてできるようになる技術であると言えます。
最強プレイヤーのレオ君はこれがめちゃくちゃ上手いです。
直接聞いたことはないけどかなり意識してやっているのではないかなあ。




本将棋の格言から見るリアルタイムバトル将棋

将棋には様々な格言が存在しますが、本将棋とは似て非なるゲームであるリアルタイムバトル将棋においてその格言は有効なものとそうでないものとがあります。
この記事ではそれらを順に紹介しつつ、両者における考え方の違いについて説明してみたい思います。

 

 

リアルタイムバトル将棋でも有効な本将棋の格言


居玉は避けよ


本将棋では初期位置から王様を動かさないと有効な囲いが組めないため、一部の急戦策を除いては避けるのが普通です。
リアルタイムバトル将棋においては囲いの有効性は低いため、作戦によっては居玉のままというのもなくはありません。
しかし最強の駒である王様を活用するという意味では下段のままよりは前に出す方がやはり有効と言えます。
カーソルの初期位置が王様になっていることもあって、初手5八玉と王を前に出す手を指すプレイヤーは多いです。

 

王手は追う手・玉は包むように寄せよ


どちらもだいたい同じような意味で、一方向から王手をしながら王様を追っていっても逃げられてしまってあまり有効ではないので、包囲するように攻めるべしという格言。
リアルタイムバトル将棋においてもこの格言はかなり重要で、退路封鎖の発想を持つことは大事です。

 

玉は下段に落とせ・中段玉は寄せにくし


こちらも寄せに関わる格言。将棋の駒は前に進むものが多いので、相手の王様が下段にいるほど攻めやすく詰ませやすいです。
クールタイム3秒の王様の前進力は非常に強力なので、捨て駒などで王様を下段に誘導する手は本将棋以上に重要だと思います。

 

一歩千金・歩のない将棋は負け将棋


意味としては微妙に異なりますが、一番弱い歩という駒の重要さを説いた格言。
リアルタイムバトル将棋では本将棋よりも歩の価値が高いので、この格言の重要さは本将棋以上です。
支え、確定反撃などに使用する非常に重要な駒なので、いかに切らさずに立ち回るかが一つの焦点と言えます。

 

敵の打ちたいところに打て


めちゃくちゃ重要な格言。
手番制ではないリアルタイムバトル将棋においては、この格言の重要さは本将棋の比ではありません。
相手が支えたい位置に先に打つ、確定反撃をされる前に駒を打って防ぐなど、対局の要所要所においてこの格言を実行することになります。
リアルタイムバトル将棋においては「敵の打ちたいところに敵よりも先に打て」。
操作の速度や精度というアクション的な意味も強く、本将棋の格言とは若干意味が異なっているとも言えます。

二枚換えなら歩とでもせよ


例え大駒を捨てるような手であっても、相手の駒2枚と交換できるのならすべしという格言。
さすがに本将棋では大駒の代わりに歩ともう1枚では割に合わないことがほとんどだと思うので、若干大げさな表現です。
しかしリアルタイムバトル将棋ではこの格言の考え方が完全に有効になり、状況によっては大駒と歩2枚の交換ですら成立します。
本将棋よりも大駒の価値が低く、歩の価値が高いリアルタイムバトル将棋ならではと言えるでしょう。

 

 

リアルタイムバトル将棋ではあまり有効ではない本将棋の格言


玉飛接近すべからず


王様と飛車が近い位置にいると両取りをかけられて飛車を取られることが多くなるので避けた方がいいという格言。
両取りをかけられても両方の駒を逃がすことができるリアルタイムバトル将棋では、そこまで気にする必要はないと言えます。

玉の守りは金銀三枚

金銀三枚を用いることで有効な囲いが組めるという格言。
矢倉や美濃囲い、穴熊など有名な囲いは金銀三枚を用いるものが多いです。
リアルタイムバトル将棋では前線で王様を積極的に活用するために囲いそのものが基本的に使われません。
「玉の守りは不要」…はさすがに極端ですが、「玉は臆さず柔軟に立ち回れ」といったところでしょうか。

 

金底の歩岩よりも固し


主に下段において金の下に歩を打つことで特に横からの攻めに対して強固な形にできるという格言。
リアルタイムバトル将棋においてはそもそも飛車を交えた横からの攻めがあまり強くないことに加えて、下段に歩を打ってしまうとその筋で歩が使えなくなるというデメリットの方が大きいように思います。
追い詰められた状況で金の支えとして歩を打つことはありますが、本将棋ほど有効な格言ではないと言えるのではないでしょうか。

 

と金の遅速


と金を作っての攻めは時間はかかるが有効だといった意味の格言。
リアルタイムバトル将棋ではと金を作る過程自体はかなり早いものの、一旦できたと金はクールタイム6秒になってしまうため、これをゆっくり寄せていく攻めはかなり時間がかかってしまいます。
また、クールタイム6秒の駒は動かすだけで隙ができるので歩や王様で対処されやすいという弱点もあるため、と金を作ってじっくり攻めるというのはあまり有効ではないように思います。
ただし相手からの有効な攻め筋がないような場面であれば、作ったと金で相手の駒を少しずつ剥がして優勢を築くといった使い方では有効だと思います。

 

両取り逃げるべからず


両取りをかけられた場合、どちらかを逃がしたところでもう片方の駒は取られてしまうので、他の有効な手を指した方が良いという格言。
実際には重要な駒を逃がした方がいい場合もありますが、考え方としてはとても重要。
リアルタイムバトル将棋でこの格言が通用しないのはもはや周知の通りですね。
両取りをかけられても両方を逃がすことができるので、「両取り両方逃げるべし」です。
ただし、両方の駒を逃がすためにはそれなりの操作量が必要になるため、状況によっては片方だけを逃がしたり、本将棋同様どちらも逃がさず他の操作をするといった判断もあり得ます。

 

 

今回は以上です。改めて本将棋の格言を調べてみると、案外リアルタイムバトル将棋にも通用するものがあっておもしろいです。
紹介したもの以外だと「遠見の角に好手あり」なんかも通用しますかね。

個人的に思いついて最近気に入っているリアルタイムバトル将棋の格言は「香車は歩の前に打て」です。
本将棋だと歩の後ろに打つことが多いんですけど、リアルタイムバトル将棋だと歩の前に打つ方が有効なことが多いと感じています。
あとは金底の歩のところで少し触れましたが、下段に歩を打つと後で困ることが多いので「下段に歩を打つな」。

格言という形で有効な手段を言語化するとプレイの際のイメージに繋がると思うので、他のプレイヤーの皆さんもmyリアルタイムバトル将棋格言を考えてみてはどうでしょうか!

リアルタイムバトル将棋 相手側4四歩形への仕掛け関連のまとめ

先日の一連のツイートに加筆して記事にまとめてみました。
リアルタイムバトル将棋において後手(相手)側が4四歩と突いて角交換を拒否した形に対する先手(自分)側の仕掛けと、それに対する後手側の対応はかなり定跡化されているので、覚えておくと攻める側でも受ける側でも役に立つと思います。


・基本的な攻め筋


・仕掛けてはいけない形

桂馬以外の他の駒が4五に利いている場合でも同様です(例えば相手が腰掛銀の形で5四に銀がいる場合など)。
支えの歩の手筋は支えた歩が取られてしまう状況では悪手になるので気を付けましょう。

・相手側によるカウンターの手筋(要警戒)

あえて隙があるように見せかけて、相手に仕掛けさせてからカウンターを決めるというのはこの手筋に限らず実戦において非常に有効です。


・クロス定跡

この盤面は適当なのでちょっと分かりにくいですが、実際には他の駒も配置して攻めやすい状態にしてからの仕掛けです。
発案者のクロスさんが仰っていましたが、相手の形によっては一方的に桂馬を取られて不利になることもあるそうなので、状況を見極めて使う必要がありそうです。
とはいえ、にらみ合いを嫌っての打開の手段の一つとしては有力だと思います。
なお、クロス定跡という名称は私が勝手に名付けたものです。


・対クロス定跡(研究局面)


四間飛車での受けの形は飛車で角を取った後、相手の桂馬に飛車が当たる形になるのがよいという気がしますが、要研究です。
ちなみに相手が攻めてこなかった場合は角を引いて、以下のような形に組むという想定でした。





ここからはツイートで紹介していなかった仕掛けについて。
4四歩3三桂馬の形に対してはもう一つ打開のための攻め筋が存在します。




上の形から「4五桂馬」と歩の頭に跳ねるのが軽い手筋。
以下相手の応手を動画で見てみましょう。
まずは4五同桂馬。

 

youtu.be

 

相手の4五同桂馬の形に対しては4四角から4五歩の支えの攻め筋が発生します。
4五桂馬の仕掛けは桂馬をタダで捨てるように見えますが、終了時の局面を見てもらえば分かる通り、桂馬を交換した状態で仕掛けた側が一歩得して筋を破る形になります。


では桂馬を歩で取る4五同歩ではどうでしょうか。

youtu.be

 

手順としては少々長くなりますが、4五桂馬に4五同歩→同歩→同桂馬に4六歩と桂取りに打ち込み、相手が4四歩と桂馬を支えると、先ほどと同じ形になって4四角4五歩の攻めが発生します。

しっかりした受けの形であるはずの4四歩3三桂の陣形でも、対応を知らないとこのように崩されてしまうので要注意です。


では4五桂馬の攻め筋に対する相手側の対応策についても見てみましょう。

youtu.be

 

4五桂馬→同桂で取った桂馬をすぐに3三に打ち込むというのが受け側の有力な対応策です。
これに対して4四角4五歩とそのまま攻め込むのは、支えた4五の歩を桂馬で取って、浮いた角まで取れるので後手良しになりそうです。
局面自体は荒れるので、先手側もこの後の攻め次第では…といったところかもしれませんが、動画終了の時点で角の丸損なのでさすがに無理攻め感は否めません。

したがって先手側は4五の桂馬を歩で取って3七に打ち込み、4五に利かせるのが自然ですが、以下4五の地点を巡って桂馬と歩の取り合いで千日手のような展開が起こりやすいです。

後手側の応手としては3三桂打ちの他に4五桂馬をあえて取らない、4五同歩の後桂馬を歩で支えない、などの選択もありそうです。

まとめると、4四歩3三桂馬の形に対して4五桂馬からの仕掛けは局面打開の手段として一応使えるものの、相手が正確な受け方を知っている場合は不利になりやすい、といったところでしょうか。

この仕掛け、使っている人が少ないこともあって、覚えておかないと案外対応が難しいです。
攻める側と受ける側の一連の手順の流れを頭に入れておくと役に立つかもしれません。
(ちなみにこの仕掛けはうみねこさんが発案で、私は2年ほど前に教わりました。)

競技シーンにおけるリアルタイムバトル将棋の基礎知識

リアルタイムバトル将棋は見た目こそ将棋ですが、対戦における考え方は本将棋とはかなり違っています。
この記事では両者の違いを比較しつつ、現在の競技シーンにおけるリアルタイムバトル将棋の試合の基本的な部分について解説をしてみます。
これからちょっと始めてみたいという方や、興味があって一度観戦してみたいといった方の助けになればと思います。

 

 

囲いの有無

 

RTB将棋では本将棋での穴熊や美濃囲いといった、王様の守りを固める囲いはほとんど使用されません。
理由としてはまず第一に、このゲームでは駒の展開がスピーディーであるため、どこからでも攻めを起こしやすいということにあります。
囲いという形で王様の周りに金駒を集めると、全体のバランスが悪くなって薄くなった場所を攻められやすくなります。
そのため、主に用いられる構えとしては本将棋でいう中住まいや風車、駒落ち戦での陣形などに似た、左右に駒をバランス良く配置する形です。そうやってどこから攻められても受けられるようにするのが主流です。
この際、相手からの駒の打ち込みに備える意味で地下鉄飛車の形が採用されることが多いです。
このあたりのお話はクロスさんが書かれている攻略wikiの記事も参考にしてみてください。

定跡について - リアルタイムバトル将棋攻略wiki

 

相矢倉の形。リアルタイムバトル将棋の試合でこのような形が採用されることは基本的にない。

リアルタイムバトル将棋の試合でよく見られる形の一例。全体的にバランス良く駒を配置する。

囲いが使用されないことの第二の理由は、王様という駒の強力さにあります。
クールタイム3秒という歩と同等の速度を持ち、なおかつ全方向に動ける王様はこのゲームにおいて実質最強の駒になっています。
取られればもちろん負けですが、そのリスクを回避しつつ攻めでも受けでも積極的に王様を活用していくのが有利に試合を進めていくうえでの重要なポイントです。
プレイヤーによっては囲いどころか、王様を単独で最前線に突っ込ませて入玉を狙うといった戦法まで見せるほど。

囲いを採用するということは前線で王様を活用しないということであり、ゲーム的にいうと消極的な構えになるかと思います。
もちろん初心者の時期は操作の点でも盤面把握の点でも、王様を逃がしつつ上手く立ち回るというのはなかなか難しいことなので、ある程度守りを固めるということは間違いではありません。
ですが、慣れてきたら王様という最強の駒を上手く活用することがこのゲームで勝つための重要な要素であるということは覚えておきましょう。
観戦のうえでもプレイヤーがいかに王様を巧みに捌くかは注目どころの一つだと思います。

 

仕掛け


本将棋において仕掛けといえば、まず歩の突き捨てから入るのが一つの基本と言えるでしょう。
例えば棒銀などは歩を交換しつつ銀を前に繰り出す基本的な攻めの形です。
しかしRTB将棋において歩の突き捨ては、相手に歩を渡すというデメリットが発生します。
渡した歩で何をされるかというと、このゲームの最重要とも言えるテクニック「確定反撃」です。
RTB将棋で棒銀のような攻めをすると、即座に確定反撃で前に出した重い駒は取られてしまいます。
このゲームでは本将棋よりも歩の価値がかなり高いので、歩の突き捨てから入る攻め筋は、特に序盤において少々やりにくくなっています。

 

youtu.be

本将棋棒銀のような仕掛けをすると、確定反撃が飛んでくる

 

RTB将棋において主流となる仕掛けの形は、相手の歩を取って後ろから歩で支える形です。
主に使用するのは角、桂馬。
相手の歩を先に取り、駒が取られたとしても支えた歩で相手の駒を取り返すことができるこの攻めが非常に有効です。
歩の価値が高いため、序盤から角を捨てるような攻めであっても、歩ともう一枚との2枚換えかつ筋を破れるので十分成立します。
この有効な攻めの形を作れるかどうかが対戦において重要で、序盤の形作りの上でも一つの焦点になってきます。

 

youtu.be

1P側は角で4四の歩を取って後ろから4五歩と支える仕掛け。2P側は桂馬を成りこんで歩で支える仕掛け。どちらも有力な攻め筋の一つ。

 

 

にらみ合い

 

慣れたプレイヤー同士の試合になってくると、当然お互いこういったことを分かっていますので、お互いが相手に仕掛けの形を作らせない駒組をするようになります。
そうなってくると、無理やりにでも攻めるためにはデメリットのある歩の突き捨てが必要になってきます。
このため受ける側が有利になりやすく、これを両者が嫌った場合は互いに仕掛けない、にらみ合いの展開が発生します。

両者風車系の構え。典型的なにらみ合いの場面。攻めるためにはどこか歩を突かなければならず、上手く立ち回らないと仕掛けた方が不利を背負う。

 

 

このゲームでは右上に表示された制限時間内に勝負がつかなかった場合は、駒ごとの得点を計算しての得点勝負となります。(点数は歩が1pt、香桂銀金が2pt、飛角が3pt)
上の画像のような状態から両者ともに仕掛けずにらみ合いのままで終了した場合は同点なので引き分け再試合になります。


さてそれではお互いが受けの棋風のプレイヤーだった場合に我慢比べになって勝負がつかなくなりそうですが、ここで重要になってくるのが、試合終了間際に相手の駒を取って得点勝ちする、という手段があるということです。
基本的には角で最後に相手の歩を一枚取って、1ポイント分の得失差で勝つことを狙います。(取るタイミングが早すぎると相手に角を取り返されて逆に負けてしまいます)
上の画像で見たような完全な受けの形の場合、角道が閉じてしまっているためこれが実行できません。角道を開けるためには歩を突き捨てないといけないので、ポイント勝ちができないのです。

そのため、にらみ合いになった場合には角道を通している側が、一方的に勝利の主導権を握る展開になります。
終了間際ギリギリのタイミングで駒を取るのはそれなりに難しく、相手側も取られる直前で回避しようとしたりするので確実に勝てるというわけではありませんが、有利な状況ということには変わりありません。
自分から仕掛けずに待ち構える作戦は一見有効なようですが、完全に角道を塞いでしまうような極端な受けの形だと終了間際の攻防で一方的に守勢に立たされることになるため、上級者は避けることが多いです。

 

角道が通っていない1P側に対して、2P側は通っている。互いに仕掛けず時間切れ模様になった場合に勝利の主導権を握れるのは2P側

 

 

角交換

 


このような背景から、両者ともに角道を通したままの戦いが起こりやすくなります。そこから必然的に起こってくるのが角交換の試合です。
現状のプロ同士の試合でも主流の一つになっており、特に採用率が高いのが角交換から筋違い角を使った戦法。
筋違いに角を打ち込むことで、先に説明した相手の歩を取って歩で支えるという仕掛けの形が作りやすくなるのが大きな利点です。
この攻めに対する攻防が、現状のRTB将棋における主流の定跡形といっていいと思います。
いろいろ形や試合の流れがあるのですが、それを解説していくとそれだけで一記事が軽く書けてしまうくらいなので今回は割愛です。

筋違い角の攻めを嫌って角交換を拒否する選択もありますが、その場合は先に述べた理由から、端角や引き角などで角道を通す手段を残すなど、何かしら打開の手段を講じる必要があります。

 

相筋違い角の試合。1P側の5筋位取り型筋違い角は左右どちらにも仕掛けることができる構え。ここから激しい攻め合いが起こりやすい。

 

以上、基本的な考え方についての解説でした。
主に序盤の場面でプレイヤーがどういう風に考えて形を作っているかはなんとなく分かってもらえたかと思いますが、この後激しく駒がぶつかり合い始めてからがリアルタイムバトル将棋の対戦の醍醐味とも言えます。
瞬間瞬間の思考パズルの解き合いのような感じで、操作力と一瞬の判断力、アドリブ力のようなものが激しく要求されます。
そのあたりの解説については、あるかないか分かりませんがまた次の機会にということで。
読んでくださってありがとうございました。

プロe棋士選抜大会及び挑神戦の振り返り

7/23土曜日、福岡県のesports Challenger's Parkにて、リアルタイムバトル将棋のプロe棋士決定戦及び、第三のタイトル戦、挑神戦が開催されました。
challepa.jp


まず午前中にプロ選抜大会ですが、3月から6月まで計8回の予選大会を終えて、獲得ポイント上位4名による総当たり戦で、上位2名がjesuプロライセンスを獲得して、「プロe棋士」となります。
午後からはRTB将棋第三のタイトル戦である挑神戦。
現プロ6名と新プロ2名、合計8人でトーナメントを行い、優勝者が「挑神」のタイトルを獲得します。

今回私は一連の予選大会を終えて1位という結果で通過はできていたものの、決して楽に勝ち抜けてこれていたわけではありませんでした。
4人の中では現時点では自分がやや強いかなとは思っていたものの、差はほとんどないので決して油断できるレベルではない。
なのでプロ選抜リーグ戦の突破見込みは6~7割くらいかなと見込んでいました。
前回の時も同じくらいの見込みでローランさんに敗れて予選敗退してしまったので、ここは全く楽観視していませんでした。

さて、対戦相手は全員警戒していましたが特に怖かったのが公人直人さんで、その怖さは成長力でした。
予選で何度も当たりましたが銀星戦の時とは別人レベルで強くなっているので、6/30の最終予選の後から更に実力を底上げされてくるのが予想できたので、一番警戒していました。

次に警戒していたのがうみねこさんで、その怖さは戦術の広さ。
こちらの指し筋を分析した上で何か戦法を用意してこられると思っていたので、それにはまってペースを握られる展開になるとまずいと考えていました。

最後に朔夜さんの怖さは駒の打ち込み速度と入玉狙いの戦術。
一瞬の駒の差し込みで先を越されて崩されたり、隙のできたタイミングで入玉を狙われると非常に防ぎにくいこともあるので、こういう大舞台でやるには怖い相手。

選手控え室のPCルームで、直前まで練習ができました。
皆さんかなり積極的に練習をされていましたが、私はやりすぎて疲れるとまずいと思ったので、CPU10戦くらいで終了。


以下試合の様子をダイジェストで記載していきます。配信と合わせてご覧ください。


第一試合
まこと’vsうみねこ 2-0

まず初戦勝ちたかったので、ここで勝てて精神的に楽になりました。
すぐ横で並んでプレイではあるものの、オンラインに繋いでの対戦なので気持ちラグがあるのか操作に若干手間取りました。
2戦目最後は得意の空き王手を決めることができて思わずガッツポーズ。

第二試合
公人直人vs朔夜 2-0

vtuber対決を制したのは公人さん。

第三試合
うみねこvs朔夜 2-1

最後の試合は序盤で飛車の空き王手が刺さる展開。
私もああいう飛車で何度もやられたことがあるので悔しいだろうなーと思いました。

第四試合
うみねこvs公人直人 2-1

1本目は公人さんがかなり優勢な試合だったのですが、終盤の噛み合いにもつれ込んでしまった結果うみねこさんが勝利。
3本目も判定勝負とかなり競り合った試合でしたが制したのはうみねこさん。

第五試合
まこと’vs公人直人 1-2

できれば全勝で勝って一位通過したいと思っていたので、痛い敗戦でした。
なかなかペースを掴めなくて焦りが出たのかタダで角を取られる位置に放り込んでしまったりとミスが出ました。
公人さんとの対戦、以前の予選の時は負けるにしても角の見落としなどで、内容的に大きく押されて負けるということはほとんどなかったはずなんですよ。
しかし今回は真っ向からのぶつかり合いで完全に抑え込まれての負けでしたので、完敗でした。全く隙がなくて強かった。
やはり警戒していた通りの成長力を見せつけられましたね。

ただ、公人さん側からすると私に負けたらプロは絶望という状況。でもそこで逆に開き直って力を出し切れたのが良かったと言われていましたね。見事な内容でした。
私の方もここで1-2で敗北を喫してしまったことでプロ入りが怪しくなってきました。少なくとも1位抜けは無理になった…と思っていました、この時は。

第六試合
まこと’vs朔夜 2-0

公人さんとの試合の負けで、前回銀星戦の時の敗退の思い出が蘇ってきましたが、なんとか勝利。
2本とも最後は手持ちの駒がなくなるやや薄い攻めだったので、しっかり受けきられる展開になっていたらまずかったですね。


ということで全試合が終了!
そしたらスタッフさんから1位です、との連絡。

!?

公人さんに負けたので、直接対決で負けた私は2位になるんじゃないかと勝手に思っていました。
でも後で調べたらちゃんと規約通りなんですよね。


ということで直接対決で敗れているので堂々と、というわけにはいきませんでしたがそれでもプロ選抜大会は1位という結果、プロライセンス獲得となりました。
無事午後からの挑神戦にも参加できることになりました。一安心です、やっと並べたかーという感じでした。


お弁当を食べて午後からの試合に臨みます(お弁当めっちゃ量が多くて食べきれず)。


挑神戦の話に行く前に、このお二人の話題にも触れされてもらいましょう。



吉本芸人の今北実徳さんと白桃ピーチよぴぴさんです。
YUBIWAZAというesports番組の企画でこのゲームのプロを目指し、一連の予選大会にもプレイヤーとして参加してこられたお二人が、今回現地取材という形で会場に来てくださいました!

実質ゲストみたいなものです。こっちは番組で見て一方的に知っている存在でしたが、直接お会いできていろいろお話もできて本当に嬉しかったです。
プロ選抜大会が始まる前から会場入りされていて、私を含めた選手全員に順番にインタビューをされていました。
プロライセンス獲得後や大会終了後にもインタビューを受けさせていただきましたが、インタビュー中だけでなくインタビューが終わった後も本当に楽しくお話させていただきました。

お二人は同期ということでとても仲がいいんですよね。
お二人のおかげで会場に和やかで楽しい雰囲気が生まれていましたし、インタビューに受け答えすることで適度に緊張感が解けたり、自分の考えをまとめるきっかけになったりしたので、個人的にはこれがプレイヤー目線としてとても良かったです。
あと単純にこうやって番組という形で取り上げて発信してもらえるのが貴重で嬉しい。
ちなみに今北さんはプレイ歴3ヶ月程度ながらすでに上級者ともやり合えるくらいの実力者。これからもプロを目指してがんばってくださるそうで、競技シーンへの参加、活躍がとても楽しみです。




ということで挑神戦開幕です。
今回の挑神戦は特殊ルール「入玉禁止」が採用されているのが大きな特徴。
王様が相手の陣地にあたる3段目以降には侵入することができなくなっています。
事前に練習をしましたが、これがかなり感覚が変わってきまして、このルールならではの特殊な駆け引きも出てきたりします。
将棋では絶対に出てこない場面があったりするので、通常の感覚が通用しなくなるのが難しいところ。
入玉が絡む場面でのやり取りは皆さんかなり戸惑われていた印象がありますね。


一回戦第一試合
レオvs公人直人 2-0

早速登場の最強中学生。
対するのは新たにプロとなった公人さん。
早速プロの洗礼という感じでレオ君の強さが炸裂していました。
敗れはしたもの公人さんは選抜2位になってレオ君と対戦することになったことを嫌がるどころかむしろ喜んでいたのが印象的でした。
強い相手に挑んでみたい、っていうの分かります!


一回戦第二試合
クロスvs鷺宮ローラン 2-0

ともに前回プロになった2人の対戦。
ごめんなさい、実はこの試合あまりちゃんと見られていませんでした。
というのもこの時ちょうど飛車ちゅうさんの方から話かけていただいていたので、そっちの方に完全に気をとられていたんですよ。
試合の方はクロスさんが危なげない試合運びで勝利。


一回戦第三試合
星野vs飛車ちゅう 2-1

将棋力の高さが光った対戦。
ゲストの森内先生は飛車ちゅうさんの構えを見てかなり将棋が強いということを看破。
二~三段はありそうだとかなり正確に言い当てられていて、後で飛車ちゅうさんも驚かれていましたね。
1-1にもつれ込んだ最終3本目は入玉禁止ルールの究極形、互いに入玉できない状態の攻防が発生しました。
これが本当に見ていてもどうすればいいのか分からない。互いの王様が前にも行けない後ろにも下がれないでとにかく狭い。
最後は星野先生が飛車ちゅうさんの王を詰みの状態に持ち込んで勝利。


一回戦第四試合
まこと’vsやましゅ 2-0

会心の勝利でした。対戦相手は実力NO2といってもいいやましゅ君。
強敵ではありますが、以前の大会で勝ったこともある相手なので決して勝てない相手ではないとは思って挑みました。
一本目は序盤でやり合った後、にらみ合いになるというやや珍しい展開。
攻め筋がなくはなかったので、慎重に考えてから動いていきました(ちなみにこの時ポイントで僅かに負けていたのでこちらから仕掛けなければいけない状況でした)。
午前中の試合で十分エンジンがかかってくれたおかげか、我ながらかなりいい動きができていたと思います。
特に持ち駒の素早い選択は自分で後から見直してもこれどうやって操作間に合わせてるんだ、って思うレベルでよく仕上がっていました。
逆にやましゅ君の方は緊張もあってかやや操作等にミスがあったようで、隣の対戦席から時折声が上がっていました。
なんとか押し切って勝利。

2本目もこちらから攻めていく展開で、それなりに調子よく攻めてはいたもののやましゅ君の受けの上手さもあってじわじわと駒損。
中盤で一気に勝負を仕掛けようと焦って打ち込んだ金の2連打が特に良くなかった。冷静に対処されて劣勢に。
この後の展開は一連のツイートで。


ひょっとするとやましゅ君側は飛車に気づいていたけど6秒の前に攻めきれる、という判断だったかもしれないです。
どちらにしてもギリギリの逆転。
内容的には負けていましたが勝ちは勝ちなので、王様を取れた瞬間はガッツポーズが出ました。
「勝った…」って感じでした。
会場もこの勝利には大沸きで、この日一番盛り上がったっぽいです。やったぜ。


準決勝第一試合
レオvsクロス 2-1

王者レオ君に土をつけるべく、クロスさんが作戦を決めていく試合。
1本目は見事に作戦が決まったおかげか、レオ君を押し込む形での完勝。
これには会場もどよめき、ついにレオ君が負けるのかという雰囲気になりました。
しかし2、3本目はレオ君がしっかり立ち回って勝利。
敗れはしたもののクロスさんのプレイに会場が大注目の試合でした。


準決勝第二試合
まこと’vs星野 2-1

1本目。中盤のやり取りから守りを突破されて敗勢に。
しかしやましゅ君戦でも繰り出した入玉禁止を利用した玉ぶつけを星野先生側が見落としてくれたおかげで逆転勝ち。
1-1となった3本目、最後は上手く挟撃体勢を作ってかなり相手玉を狭い形にまで持ち込むことができたので、逃げる王様を飛車で取って勝利。
勝ってしまった、決勝戦だ、って思いました。
ちなみにこの時点で試合が終わるとかなり疲労困憊って感じでしたw
午前中からハードな試合がずっと続いていましたからね。


3位決定戦
クロスvs星野 2-0

やっぱり強いなー、クロスさんっていう試合でした。
このマッチ、展開によっては星野先生側が主導権を握ることもあるのですが、今回はクロスさんが速度とパワーでねじ伏せた感じでした。
特に2本目はいろいろ噛み合ったこともあって圧倒していましたね。
でも単に力押しというだけではなくて、事前の研究で序盤の駒組みを変えて相手の指し筋を封じたりと、作戦部分でもリードを奪っていっているというのが素晴らしいです。


勝戦
レオvsまこと’ 2-0

改めて見ても本当によく決勝戦まで行けましたね、私。
大舞台で相手は最強、文句無しの状況です。
基本的に緊張はせず、いつも以上のプレイは出せたかと思います。
1本目は最後相手金のクールタイム見切りがわずかに失敗していて、敗北。
必殺玉ぶつけが上手く機能していればかなりおもしろそうな盤面ではありました。
2本目は不利状況からの打開で無理をした結果、相手玉との刹那が発生しての負け。

練習でレオ君相手に勝てることがないわけではないので、全力を持って立ち向かいましたが勝てませんでしたねえ。
内容的には準決勝のクロスさんの方が肉薄していたと思います。



今回プレイヤーの皆さんと久しぶりに直接お会いできていろいろお話ができたのが本当に良かったです。
それぞれのお話と、今回皆さんに直接お会いした中で、使用デバイスを直接見せてもらえたので、その点についても合わせて語らせてもらいます。


レオ君
今回もお母さん、お姉さんと一緒に当日午後に現地入り。
いつ見ても家族仲良しなのが見ていて微笑ましいです。
今回はまさかのプレゼントもいただいてしまいましたw

クロスさんとの準決勝ではかなり追い詰められる場面もありましたが、終わってみれば今回も優勝。
王者として不動の地位を確立していますね。
レオ君とは他のゲームで一緒に遊んだり年齢差を超えて仲良くしてもらっているので、今回決勝戦という舞台で対戦できたのは純粋に嬉しかったです。

使用デバイスはカスタマイズキーボードですが、今回見させてもらったデバイスの中で一番衝撃的でした。
なんか変わってるなと思ってよく見させてもらうと、カーソルを移動するための4つのキー、決定と駒操作の2つのキー、計6つのキー以外を全て外しているのです。
なるほど、この発想はなかった。打鍵ミスがあるのなら、不要なキーを全て取り除いてしまえばいいと。
大人ではできないような柔軟な発想。リアルタイムバトル将棋の操作のためだけに物理的にカスタイマイズしたデバイスを用意するという徹底ぶり。
レオ君が最強を走り続けているのは、絶え間ぬ努力に加えて勝利を掴むための最善の手法の模索、こういう工夫の積み重ねでもあるのだなと、改めて思い知らされました。やはり最強プレイヤーは伊達ではない。

キャンセルボタンを使用していないというのも軽い衝撃です。
操作しようとしてやっぱり止める、みたいな場面がないってことなのかなあ。


やましゅ君
お姉さんの山口仁子梨女流が付き添いで来られていました。
仁子梨さんにお会いするのは私も初めてでしたのでご挨拶できる機会があって良かったです。
事前にちょっと話しましたが受験学年ということもあって、あまり練習ができていなかったようでしたね。
最初のインタビューの時に年齢を聞かれて「じゅう………」で止まっちゃって、一同「そこ!?w」ってなりましたw
こういうおっとりマイペースな感じがやましゅ君らしくて微笑ましいですw

優勝候補の一角でありながら、今回は一回戦で私に負けてしまったのできっとかなり悔しい思いをしたと思います。

使用デバイスはいわゆるプロコンと呼ばれるタイプの、スティックが付いているゲームパッド
やましゅ君が特に変わっているのが、十字キーではなくてスティックで操作をしているという点です。
斜め入力などは正確にできないようですが、慣れているということで十分高速の操作を繰り出しています。switch版の頃からスティック操作でやられていた記憶がありますね。


飛車ちゅうさん
ぷよぷよを嗜む私にとって、ぷよぷよの世界では雲の上の人。
前回タイトル戦の時は私がオンライン参加、前々回の時は飛車ちゅうさんがオンライン参加だったので、今回初めてお会いできました。
ぷよぷよ界のお話も含めていろいろお話ができて本当に良かったです。
大会の一週間前、一週間後にはそれぞれぷよぷよの大きなイベントや大会がある中、こうやってこちらの大会にも出てくださるので本当にありがたいことです。
前日遅くまで仕事をされて、朝から5時間かけて新幹線移動ということで、コンディションは正直かなり悪かったと思いますがその中でもしっかりしたプレイを出されていてさすがだと思いました。

使用デバイスは一般的なプロコンで、十字キー操作。おそらく初期のswitch版の頃からほとんど変わられていないと思います。
普通の十字キーだと斜め入力が難しいのですがそこは操作力でカバーされていて、名人筆を選ばずって感じです。
あまり速くないと謙遜されていましたが十分速いと思っています。


星野先生
今回あまりお話できませんでしたが、準決勝の出番待ちの時にお話しして、対戦が相当久しぶりで最後にやったのがいつだったかお互い思い出せないくらいでした。
個人的に星野先生の指し回しは本当に上手いと思っていまして、この日も飛車ちゅうさんとの対戦を観戦しながら上手いなあって感心していました。桂馬の利かせ方とかがとにかく上手い。渋い。

番組の企画で弟子入りされている今北さんとのやり取りもおもしろかったですw
今北さんの応援を途中から忘れていたと笑いながら塩対応されていくところがいかにも星野先生らしかったw

使用デバイスはレバーレスコントローラーのHITBOX。
Switch時代には主流コントローラーの一つだったレバーレスタイプコントローラーですが、steam版では設定の都合もあって使用しているプレイヤーは少なくなっています。
上下の配置が逆になっているので慣れるまでがやや難しいですが、星野先生はキー設定をいじって右手でカーソル操作、左手で決定などの操作をされているそうです。今回始めて知りました。
以前は操作速度の面で他の選手に遅れをとって弱点となっている面がありましたが、最近はそこまで大きな差はなく、要所要所を抑えていけるだけの速度は出されているので、本来の強みである棋力カンストが発揮されているように思います。


クロスさん
クロスさんとも1対1ではそんなにお話できませんでしたね。大会中は出番の兼ね合いとかもあったりして。
普段からおそらく一番熱心に取り組まれているプレイヤーで、今回の大会にも並々ならぬ決意を持って挑んで来られていたと思います。
実際準決勝のレオ君戦での1本目は凄かったです。レオ君が負けるにしてもあそこまで完全に押さえ込まれて負ける展開は稀なので。
しかし今回も勝ちきることはできず、悔しかっただろうなと思います。
壇上で3位までが表彰、撮影を受けた後で準決勝2試合目も惜しかったですね、って話をしましたが、あれは攻めているように見えて無理攻めをさせられていたので良くなかった、と冷静に分析をされいたのが印象的。

賞品としてお米を獲得するのが2回目ということで、次からクロスさんの賞金はお米に換算して支給しようとか、皆さんから散々いじられてたのがおもしろかったですw

使用デバイスはキーボード側でキー設定を変更できるタイプのキーボード。
switch時代はJOYコンを使用されていたので、steam版になってからはいろいろデバイスを試行錯誤して苦労されていたようですが、今では完全にキーボードを使いこなされていますね。
以前は将棋経験無しという弱点で、駒の打ち込みなどを苦手にされていましたが、経験を積まれて最近はほとんど弱点といった感じではなくなってきているように思います。


ローランさん

皆大好きローラン仮面が久しぶりに登場です。

ローランさんには事前に入玉禁止ルールの練習に付き合っていただいて大助かりでした。
1時間半くらいぶっ通しでやってさすがに疲れたんですけど、結局入玉禁止ルールでの練習はその時やったのが最後でしたね。
で、現地でもお話したんですけど元々積極的に王様を前に繰り出して、隙あらば入玉を狙っていくローランさんのスタイルとこのルールはかなり相性が悪いんですよね。
練習の時、通常ルールやトライルールだったら負けだった、みたいな展開が結構ありました。

使用デバイスはクロスさんと同様のキーボード。
ローランさんの設定を軽く見させてもらったのですが、右手側のALTキーにも前入力を設定してあるのが独創的。
特に序盤で前入力を多用する場面で重宝するらしく、おもしろい工夫です。


ちなみに公人さんはカバー部分が壊れてボタンが露出した結果、逆に使いやすくなったというゲームパッドうみねこさんは片手タイプキーボードの両手使用、朔夜さんは一般的なゲームパッド、でした。
プレイヤーそれぞれデバイスを工夫して用意しているというのもこのゲームの魅力の一つで、今後もいろいろおもしろいものが飛び出しそうで楽しみです。


※7/28追記
せっかくなので私が使っているデバイスも紹介。

十字キーでも動かせますが、私は左下のボタンを使ってカーソルを移動を行っています。
これがSwitchのJOYコンとほぼ同じなので、斜め入力もやりやすくて重宝しています。
かなり小型なので、最初は持ちにくかったんですけど慣れました。
ちなみに大会2週間前くらいまでは、同じコントローラーのターコイズカラーを使っていましたが、動作が怪しくなったので予備で用意してあったこのイエローに切り替えました。

PCでもswitchでも使えるので、練習にとても便利です。
値段も3000円台と安いので、買い替えもしやすいのでこれから始める方にもおススメですよ。



大会終了後、プレイヤーや関係者の皆さんとでいろいろお話をしましたが、その中でちょっと上がった話などを少々。

・一回戦負けると悲惨問題
シングルエリミネーショントーナメントなので、一回戦で負けてしまうとそこで出番終了です。
前回もそうでしたが、遠路はるばる訪れた地で一試合だけやって終了になってしまうのはさすがにちょっと悲しいですよね…。
ゲームの特性上、ちょっとした見落としや噛み合い、操作ミス等で実力を出し切れず一瞬で終わってしまう可能性もあるのでなおのこと怖い。
下記の問題と合わせて、敗退したプロが解説に回るのはどうかという意見がありました。


・実況解説問題
現在公式の大会のほとんどではシルバースタージャパンの岩田さんが実況解説を担当されています。
個人的には岩田さんの喋りは大好きですし、将棋の知識もこのゲームの知識もある方ではあるのですが、このゲームならではのやり取りを十分に伝えるという点ではやはりプレイヤーの人達には及ばないのかなと。
挑神戦のチャレパ開催予選の第二回と第三回ではローランさんとクロスさんがそれぞれ解説役として登場しましたし、以前の大会では星野先生や実力者のbozitomaさんが配信で解説されていて、やはり試合の要点が非常に分かりやすくなっていました。
ただ、試合のあるプロ以外で誰か外部から解説者役の人を用意するとなると報酬や打ち合わせの問題、広報との兼ね合いなどいろいろ問題もあると思いますので、現状は岩田さんという形で落ち着いているのだと思います。


・リーグ戦やってみたい
プロ8人体制になったことだし、8人総当り、もしくは4人リーグ2つで決定戦とかやってみたいですねって話が出ました。
タイトル戦でやるかどうかはともかくやってみたい。
これと上の話にも関連していますが、シングルエリミネーション以外の形式の大会もいいよね、って話もありましたね。


以上、プロe棋士選抜大会と挑神戦の振り返りまとめ記事でした。
司会を務めてくださった川崎優さん、ゲストの森下卓九段、チャレパ及びCTCスタッフの皆さんも本当にありがとうございました。


プロの一員として次回以降のタイトル戦にも参加できることが何より嬉しいです。
これからもがんばりますので応援よろしくお願いします!
最後まで読んでくださってありがとうございました。

リアルタイムバトル将棋の持ち駒選択システム、こうなってくれたらもっと速度が出せるかも?(妄想)

現在のリアルタイムバトル将棋の持ち駒選択システムは、横方向にカーソルを移動させて使いたい駒を選択するというものになっています。

f:id:makotodash2:20220405162055p:plain

見た目としてはとても分かりやすいのですが、問題点として使いたい駒にカーソルを合わせるのに若干手間取ってしまう、ということがあります。

例えばデフォルト状態の歩にカーソルが合っている状態で金を打ちたいという時は、「R→右(香車)→右(桂馬)→右(銀)→右(金)→A」、もしくは「R→左(飛車)→左(角)→左(金)→A」という操作を行う必要があります。
また、特に出番の多い歩の打ち込みに備えるため、余裕のあるタイミングで歩にカーソルを戻しておくという操作を仕込むことも多いです。

上級者同士の対戦ではこれら操作も非常に卓越して高速化されてはいるものの、一瞬手間取るということには変わりないので、この駒選択のアクセス性がよくなることで更なるハイスピードブレインバトルの実現に繋がるのではないか、と考えました。
つまり、駒を打ちたい時にもっと即座に駒を選択できるようにならないかということです。

そこで考えてみました。こういう持ち駒パレットはどうでしょう。

f:id:makotodash2:20220405162105p:plain

Rボタンを押すと常に歩、つまりセンターの状態にカーソルが来るというイメージです。
香車を打ちたい時は「R→上→A」、金を打ちたい時は「R→右→A」。
これなら各駒をよりダイレクトに選択できます。
常に歩にカーソルが合っている状態になるので、カーソルを合わせ直す手間無しでいつでも即歩打ちができます。
各駒の配置はとりあえず適当、プレイヤーが自身で設定できるとよりおもしろそうですが、大会のことなどを考えると統一した方が良いかも。

問題点としては
・ゲームを始めたばかりの人にとっては、横並び状態からカーソルを動かして選択する現行システムの方が分かりやすい可能性がある。
・当然だがプレイヤーの感覚が狂って操作に慣れるまでに時間がかかる。また、枚数などの把握が現在よりも難しくなる可能性がある。
・画面のレイアウト上どう配置するのかという問題。
・現在のカーソル移動システムに最適化して技能を磨いてきたプレイヤーからすると、磨いた技術が無駄になってしまう問題。
・アクセス性アップによる高速化によって対戦環境がある程度変動するかも。


こんな感じでしょうか。
オプションで初心者向けの現システム、上級者向けの新システムみたいな感じで使い分けができるとなお良さそう。

ということで完全に妄想記事でした!

これ、この前車検でAT車に乗った時に思いついたんですよね。
AT車って各ギアに直接アクセスできないから不便だな、あれこれRTB将棋の持ち駒選択と一緒だなって思って。
MT車みたいなシステムにできたらもっと快適そうだなと思ったのがきっかけです。

(steam版だとキーボード操作ならたくさんキーが余っているので、各駒を特定のキーに割り当てて、対応するキーを押すとそれぞれの駒を選択した状態にする、といった手法もありそうです。今回はコントローラーでの操作についてのお話でした。)

リアルタイムバトル将棋 手筋・テクニック集

リアルタイムバトル将棋でよく使われる手筋、テクニック集です。
名称は解説用に筆者が適当に付けたものが多いです、ご了承ください。

歩の確定反撃

クールタイム差によって相手の大駒を確定で取る、プレイヤーが真っ先に覚えるべき超基本手筋です。
基本的なことになりますが、リアルタイムバトル将棋では駒ごとに、一度動かした後次に動かせるようになるまでの時間、クールタイムというものが存在します。

クールタイムは駒によって異なり、

・王、歩…3秒
香車、桂馬…4秒
・金、銀、成金、飛車、角、竜、馬…6秒

となっています(駒が成った直後は成る前と同じクールタイム)。

飛車や角などの大駒は一度動くと、6秒間動くことができません。
そこで、飛車、角などの駒が動いた後に、その頭に持ち駒の歩を打つと、大駒よりも歩の方が先に動けるので、確定で取れるというわけです。

図1

f:id:makotodash2:20220226222705p:plain

相手が5五歩の交換から角を繰り出してきた場面。
動かした直後なのでクールタイムが発生し、この角は6秒待たないと動かせない。そこで…

 図2f:id:makotodash2:20220226222753p:plain

角の目の前、5六に持ち駒の歩を打ち込んだ。
歩のクールタイムは3秒なので、角が動けるようになる前に打ち込んだこちらの歩の方が先に動いて、相手の角を取ってしまえる。これが確定反撃。
このような不用意な大駒の飛び出しに対しては、歩で確実に反撃したい。
相手の角の残りクールタイムが3.1秒以上であれば成立するが、打ち込みが遅れて際どいタイミングになってしまうと取るか逃げるかのタイミング勝負になってしまう。

図3f:id:makotodash2:20220226222825p:plain

 こちらは相手が8六歩の交換から8六飛と繰り出してきた場面。
本将棋では飛車先の歩を交換するのは定番の指し方だが、こちらも次に8七歩打ちの確定反撃でこちらの飛車得が確定。
序盤での相手の不用意な攻めに対してはこのように確実に対処したい。

 慣れるまでは持ち駒操作がやや難しいので、CPUを相手に練習するとよいです。
CPUは序盤から積極的に大駒を動かしてくる傾向があるので、練習相手としては最適です。
この手筋がしっかり扱えるようになってくると、本気のCPU相手にも勝てるようになってきます。
もちろん対人戦でも大活躍の手筋。

ちなみに歩が手持ちにない状況などでは、少し猶予は短くなりますが代用としてクールタイム4秒の香車と桂馬でも確定反撃を決めることができます。

なお、確定反撃とは元々は格闘ゲーム用語。
相手の隙のある攻撃をガードした後に、発生の速い技で反撃することを指します。
確反、もしくは反撃確定の略で反確と略されることが多いですね。

 

先打ち

先ほど紹介した確定反撃への対処法となる手筋。

図1

f:id:makotodash2:20220226142623p:plain

2四歩、同歩とした場面。
ここで2四飛車とすると、2三歩の確定反撃を受けてしまうのは先ほど学んだ通り。
しかし…。

図2f:id:makotodash2:20220226142704p:plain

2四飛車と走り、相手の2三歩打ちよりも先に、2四で取った歩を2三に打ち込む(!)
このように「蓋をする」ことで確定反撃は受けない。
2手以上まとめて指すことができる、リアルタイムバトル将棋ならではの手筋である。
確定反撃を防ぐのが目的なので、手持ちの駒がある状況では歩以外の駒の打ち込みでも構わない。

本将棋の格言「敵の打ちたいところに打て」を地でいく手筋。
リアルタイムバトル将棋では「敵の打ちたいところに敵よりも先に打て」が格言となります。

こちらも実戦で使っていくにはある程度操作力が必要です。
相手も確定反撃を狙ってくるので、同程度の力量のプレイヤー同士の場合、早い者勝ち勝負になってしまい、単純に正面から挑んでも毎回勝つのは難しいです。
他の場所で何らかのアクションを起こすなど、陽動を行ったうえで挑むと、成立しやすいです。
攻め以外の場面でも、クールタイムの長い駒を動かした場合には、確定反撃を防ぐために駒の前に歩で蓋をする動きが重要になってきます。


また、持ち駒がある場合は、先に駒を打ち込んでおくことでも、確定反撃を防ぐことができます。

図3f:id:makotodash2:20220226142107p:plain

次に2五飛車として2四に歩を打ち、確定反撃を防ぐのが狙い。
ただ、この場合は持ち駒に歩があるので、リスクのある操作力勝負を挑む必要はない。

図4f:id:makotodash2:20220226142143p:plain

先に2四歩と打つ。これで確定反撃を受ける心配はないので、安全に2五飛車と指せる。
こういう風に相手の歩の裏側に歩を打っていく手は、本将棋でも有力な指し方。

確定反撃を防ぐだけでなく、相手が受け駒を打ちたいところにこちらが先に打っていくことで、相手の受けを封じることもできます。

図5f:id:makotodash2:20220226142218p:plain

2六の銀が2五の桂馬を取れる状況。
相手が桂馬を受けるために2四歩と打ってくることが予想される。

図6f:id:makotodash2:20220226142903p:plain

相手よりも先に2四に歩を打つことで、相手は2五の桂馬を受けることができなくなった。
これで2五銀と安全に桂馬を取れる。もちろん確定反撃も受けない。

相手の受けを防ぎつつ、確定反撃を防ぐことができるため、相手の駒を取りに行く時には重要な手筋です。
特に王を使って相手の駒を取りに行く時、相手の受けの歩打ちと噛み合ってしまうと即敗北に繋がることがあるため、この手筋で防いでいきたいです。

図7f:id:makotodash2:20220226142940p:plain

後手が7五銀と繰り出してきた場面。
素直に同玉と応じると、相手が7四歩とコンマ数秒先に打った場合に、先に動かれて王を取られてしまう。
このような状況で不用意に王を動かすと、即負けに繋がってしまうこともあるので気をつけよう。
この場面でも先にこちらから7四歩と打てば問題なく銀を取れる。

 

誘いの歩

本将棋の「叩きの歩」とかなり性質が近い手。
相手の駒に動きを強制させて、歩の確定反撃を狙っていく。

図1

f:id:makotodash2:20220226143030p:plain

相手の飛車先が通り、このままでは8九に成りこまれてしまうという場面。
素直に受ける手もあるが、ここでは手持ちの2枚の歩を使って仕掛けていく。

図2

f:id:makotodash2:20220226143050p:plain

8三歩と「叩く」。こういう手は本将棋でもよく出てくる。
飛車の位置をずらしてこちらの駒の利きに入らせたり、飛車の横への利きを外す手筋である。
リアルタイムバトル将棋ではそれに加えて、もう一つの効果がある。

図3

f:id:makotodash2:20220226143117p:plain

8三同飛と応じたことで、飛車が6秒のクールタイムに突入した。
そこにすかさず8四歩と打ち、クールタイム3秒の確定反撃を食らわせる。
これで飛車取りが確定した。

相手としては打たれた歩をうかつに取ることができないため、かなり有力な牽制手段となります。
もちろん相手が動かなければそのまま歩で相手の駒を取れますし、横に逃げたなら前方への動きを阻止できたことになります。

例では直接飛車に当てて8三歩と打ちましたが、前方への利きを遮断するだけなら、8四や8五といった離れた位置の打ち込みでもかまいません。
その場合も同飛車と応じてきた場合には歩で確定反撃が狙えます。

有力な手筋ではありますが、歩を一枚相手に献上することになるため、歩が貴重なこのゲームでは狙える場面はやや限られてきます。
金や銀相手にも実行できますが、使いどころはよく考えたいところ。
相手にやられた場合は、確定反撃封じの先打ちが主な対抗手段となります(8三同飛+8四歩打ち)。

 

支えの歩

駒を動かした後、後ろから即座に歩を突く、もしくは歩を打ち込んで前の駒を支えていく手筋。
実戦で頻発する手筋です。
2手セットで動かす、リアルタイムバトル将棋ならではの手筋で、前で動かした駒が取られても歩で取り返すことができます。
これを使って積極的に駒を前に繰り出すのが基本的な攻めの形です。

序盤では仕掛けの際に一方的に歩得の状況を作りやすく、中盤以降でも相手側からは対処しにくい攻め筋となります。

図1

f:id:makotodash2:20220226143250p:plain

先手が右四間飛車の形を組んでいる。
まだ序盤の駒組みの段階のようだが、早くも仕掛けのチャンスがある。

図2

f:id:makotodash2:20220226143314p:plain

4四角と歩を取り、4五歩と突き支える。
本将棋では不可能な、この2手セットの仕掛けが非常に鋭い。

図3

f:id:makotodash2:20220226143333p:plain

4四同角と取られたが、クールタイム差で4四歩と取り返せる。
結果、角交換になったが、先に4四角と歩を取ったおかげで、先手が歩得の状況。
更に、次に歩を成り込むこともできるため、早くも先手が有利な態勢といえる。

オンライン対戦初期の頃に猛威を振るった戦法「うみねこ刺し」もこの手筋を使っています。

図4

f:id:makotodash2:20220226143405p:plain

うみねこ刺しの基本的な形。2五桂馬と跳ねて、次に1三への成り込みを狙う。

図5

f:id:makotodash2:20220226143432p:plain

1三桂成りに1四歩と突き支える。
相手の歩を取った上でこちらの歩を突ける、というのが大きい。

相手から取り返される位置に駒を動かしたら、とりあえず後ろから歩で支える、ということを意識できるとよいです。
支えることによって自分の駒が取られてもその後で相手の駒を取り返すことができるので、一方的に駒を取られていくということがなくなります。

相手の確定反撃が飛んでくるのが見えている場面でも先に支えておく手が有効です。
ただしその場合は、駒の前に蓋をして確定反撃を防ぐ手段もあるため、状況に応じて使い分けられればベストです。

 

垂れ歩ループ

支えの歩を連続して繰り出すことで、と金を次々に生み出す強力な手筋。「と金ラッシュ」とも。

成り込んだ駒が取られたら支えた歩が成り込み、更にその後ろに次の歩を打ち込むことで、その名の通りループします。
先ほどのうみねこ刺しの局面の続きから見てみましょう。

図1

f:id:makotodash2:20220226143759p:plain

1三桂成に同香と応じた後手。
先手はそこに1四の歩を1三歩成りとして、即座に1四歩打ちと支えて打つ。
後手が桂馬か角で1三のと金を取り返すと、後ろの歩がまた1三歩成りと成り込んでくる。

図の状況では手持ちの歩が一枚だけですが、2枚以上ある場合は、この流れが歩のある限り延々と続いてしまいます。
まともに相手をしていると相手の陣地はあっという間に焦土化してしまう、強力な手筋です。
やられた場合はできるだけ相手をせずに駒を遠ざけたり、歩を使って受けたりして、被害を出さないようにしたいです。
使う方としては、やや形が重くなる点に注意。

なお、本将棋における垂れ歩とはこういった手です。

図2

f:id:makotodash2:20220226143839p:plain

2四歩と「垂らす」
次の2三歩成りを見せている。

図3

f:id:makotodash2:20220226143855p:plain

8四歩と垂らす。
玉頭に攻めの拠点を作った。

他にも相手陣地内でと金を作る手などがあります。
こういった垂れ歩はリアルタイムバトル将棋でも有効な手になることが多いので、覚えておきましょう。

 

空き王手

本将棋でも存在する手筋ですが、リアルタイムバトル将棋においては奇襲的な意味合いが強くなります。
大駒の動きを遮断している駒を動かし、即座に大駒を動かして王をかすめ取る手で、把握できていないとあっという間に王が取られてしまいます。

図1

f:id:makotodash2:20220226143927p:plain

互いに駒組がある程度完了した状況。
しかし相手玉がこちらの角のラインに入っている。

図2

f:id:makotodash2:20220226143952p:plain

6五歩と突き、早くも角で王が取れる状況になった。
相手が気づかなければこれで王を取って即試合終了である。
ただし、相手の駒の割り込みによる操作キャンセルなども起こるため、決めるのは案外難しい。

指されてから対応するのは難しいので、大駒の筋に王が入らないようにするのが基本です。
相手の大駒、特に角の位置については常に把握できるようにしておきたいです。
単に遠距離から角、飛車で王手をかけるのも気づかれにくく強いのですが、クールタイム6秒に加えて、王手の効果音が鳴ることで反応されやすいです。
空き王手の場合は間接的な王手になるため王手の効果音が鳴らないという点も強力です。

 

利かせ駒遮断

遠くから利かせてある駒(飛車や角など)の動きを遮断する手を打ち、安全に利き駒を取る手筋。
本将棋では詰みの場面であっても、リアルタイムバトル将棋では駒の利きを遮断する手を使うことで安全に玉を逃がせることも多いです。

図1

f:id:makotodash2:20220226144058p:plain

相手が8九金と王手をかけてきた場面。
本将棋であればこれで詰みである(9八玉、9九金、8八玉、8九飛車成りまで)。
しかしリアルタイムバトル将棋ではむしろ受け側のチャンスとなる場面。

図2

f:id:makotodash2:20220226144124p:plain

7九金と引くことで、相手の飛車の利きを遮断した。
これで王手だったはずの金がタダ駒と化してしまう。
この後はもちろん8九玉と、金を取る。
盤面の駒の移動だけでなく、5九歩打ちなどと持ち駒を打ち込んで遮断する手もある。

図3

f:id:makotodash2:20220226144151p:plain

8八金と打たれた場面。
これも本将棋なら即詰みの場面。

図4

f:id:makotodash2:20220226144213p:plain

8七歩と飛車の利きを遮断すれば次に8八玉で金のタダ取りである。
打つのは8五など8筋の他の位置でも構わない。

 

利かせ駒抜き

利かせ駒遮断と似た守りの手筋。
利かせ駒に対してこちらの駒の利きが当たっている場合、先にそちらを取ってしまえば、利きがなくなった駒はタダになります。

図1

f:id:makotodash2:20220226144247p:plain

相手が6七金と打ち込んできた場面。
なかなか厳しい王手のように見えるが…。

図2

f:id:makotodash2:20220226144321p:plain

6六銀と、先に利かせてある歩の方を取ってしまえば、利きがなくなった6七の金はタダである。

上手く決めれば相手の攻め駒をまとめて取ることができるため、形勢に大きく影響してくる重要な手筋です。
相手が迂闊な攻めを見せた場合はまとめて駒を取ってしまうチャンスでもあるので、相手の駒の利きに惑わされずに落ち着いて対処できると良いです。
逆に攻める側の場合、利かせている駒が相手の駒に取られる状況では攻めは成立しない、という意識を持つ必要があります。

操作が早ければ手順が前後(先に6七玉と金を取ってから6六銀)しても間に合うこともありますが、リスキーです。
クールタイム差などで操作が間に合いそうにない場合以外では、利かせている駒を先に抜くのが基本です。

この手筋の応用として、クールタイム差を活かして、利かせ駒を抜く手を放っていくのも有効です。

図3

f:id:makotodash2:20220226144730p:plain

7八金と打たれた場面。
持ち駒が歩だけなので金に対する龍の利きを遮断する手が打てず、龍を取ることもできないため、万事休すかに思われるが…。

図4

f:id:makotodash2:20220226144831p:plain

5九歩と、龍を取る手を打っていく。
相手の金はまだクールタイムが5秒あるため、こちらが打ち込んだ歩で先に龍を取ってしまえば、その後王で金を取ることができる。
龍で歩を取れば金の利きが消えて王で金が取れる。
また、龍がどこかに移動すれば、クールタイム6秒が発生するので、これもまた王で金が取れる。
このように利かせてある駒の方にアクションを起こすことで、利きを無効化して凌げる場合があります。
 

切り返し

主に相手の駒の成り込みからの歩での支えに対してカウンターとなる手筋。
相手が支えてくる場所に先にこちらの歩(もしくは他の駒)を打ち込んで支えを封じ、支えられなくなった駒をこちらの駒で取る。

図1

f:id:makotodash2:20220226172222p:plain

相手が5七へ香車の成り込みを見せている。
このまま成り込まれて5六歩と支えられてしまうと、同玉と取れず中央が突破されてかなり苦しくなってしまう。

図2

f:id:makotodash2:20220226172444p:plain

5七香成を見て、相手の5六歩より先にこちらが5六に歩を打つことができた。
これで5七の香車を王で取ることができるので、こちらの危険はなくなった。

切り返しに成功できるかどうかで状況が大きく変わることもあるため、かなり重要な守りの手筋です。
相手の手を読んだうえで、歩を持った状態で打ちたい場所に先にカーソルを合わせておくと成功しやすくなります。
逆に攻める側からすると、相手が切り返しを狙っていそうなら迂闊に仕掛けない、といった判断が必要になってきます。

 

捨て身受け

主に追い詰められた場面で、あえて相手の駒の利いている場所に王を動かし、相手が反応して王を取ってくる前に、王を取ろうとしている駒を他の駒で取って凌ぐ手筋。
クールタイムのやり取りと反応速度の関係で成立する、リアルタイムバトル将棋の対人戦ならではの手筋です。

図1

f:id:makotodash2:20220226172624p:plain

相手の怒涛の攻めで完全に包囲されて詰みの状態。
相手の駒のクールタイムも終わって、すぐにでも王を取ってこられる状況。王以外を動かす余裕はない。
基本的には負けだが、まだ唯一助かる筋が残されている。

図2

f:id:makotodash2:20220226172725p:plain

3六玉と歩を取る(!)
金が利いている歩を王が取るという、本将棋では絶対にあり得ない手であり、リアルタイムバトル将棋においても相手が反応して3六金と王を取ってくれば即敗北になる手だが…

図3

f:id:makotodash2:20220226172843p:plain

相手が反応して金を動かす前に3五銀と金を取って凌いだ。

詰みの場面であってもこのようになんとかなってしまうことがあるのがリアルタイムバトル将棋の不思議なところ。
何故これが成立するかというと、仕留めに行く側は相手が何をしてくるかを見てからそれに反応して手を指さなくてはいけません。
しかし凌ぐ側は一連の動きを想定して連続して動かすことができるので、相手が反応する前に速度で上回り、このように凌げる可能性が出てくるのです。

図1の場面で、状況に余裕があれば先に銀で金を取っておくべきところですが、今回のように追い詰められた場面ではその操作をしている間に他の駒で王を取られて負けてしまう可能性が高いです。
そのため、あえて手順を前後させることで相手の意表を突いて一瞬だけ王の安全度を上げて凌ぐ、このような手段が有効になる場合があります。
相手が人間だからこそ成立する、実戦的なやり取りであると言えるでしょう。

意図的な手順前後で相手の意表を突く手段は、人読みが絡んでくるものの受け以外でも様々な場面で応用が効く上級者向けのテクニックといえます。

 

顔面受け

王の近くに大駒を打たれた場合、王自ら取りに行く手筋。
やることは歩の場合と同じで、クールタイム3秒の身軽さを活かして相手の大駒に確定反撃を決めていきます。
ただし、操作が間に合わなかった場合などには即敗北に繋がるリスクがあるので、クールタイムや周辺の駒の状況はしっかり把握したうえで行いましょう。

図1

f:id:makotodash2:20220226151123p:plain

後手が5九飛車と飛車の打ち込みで王手を放ってきた場面。
5八金などと普通に受ける手もあるが、余裕があれば飛車を取るチャンスである。

図2

f:id:makotodash2:20220226151206p:plain

5八玉と引いて、王自ら果敢に飛車を取りに行く。
慣れないとちょっと怖い手だが、王のクールタイムは歩と同じ3秒なので、うかつに寄ってきた駒はこのように餌食になってしまう。
これで飛車取りが確定のように見えるが、油断は禁物。

図3

f:id:makotodash2:20220226151235p:plain

後手が4七桂馬と、飛車に紐を付ける手を放ってきた。
クールタイムに注目。ここで王で飛車を取ってしまうと、次の3秒の間に桂馬で取られてしまう。
歩と違って王の場合はこういう手を指された場合に取りに行けないので要注意。
 

ヒットアンドアウェイ

王のクールタイムの速さを活かして、一旦前に出て相手の駒を取ってから、王が取られる前に下がって駒得するテクニック。
いわゆる「獅子王」の動きと称されることもあります。

図1

f:id:makotodash2:20220226174208p:plain

相手が3四銀+3五歩と3筋の位を取る手を指してきた。

図2

f:id:makotodash2:20220226174326p:plain

銀のクールタイムは6秒。すぐには動けないので、顔面受けと同じ要領でこの3五の歩は王で取ることができる。

図3

f:id:makotodash2:20220226174440p:plain

銀が動くよりも前に、クールタイム3秒の王はもう一度動くことができる。
1歩取った状態で下がることができた。

この手筋も相手の駒の利きやクールタイムをしっかり見る必要があるので慣れるまでは難しいです。
柔軟に王を動かすことで相手の甘い動きからポイントを奪うことができるので、慣れてきたら意識してみましょう。
一時的に王が危険な状態になることには変わりないので、過信は禁物です。

 

避け歩

確定反撃ができない位置に相手の駒がきた場合に、こちらの駒を動かしてスペースを作ってから歩を打って確定反撃を決めていく手筋。
主に機動力のある王の移動から決めていくことが多く、王周辺でのやり取りで優位を築くために重要な手筋です。

図1

f:id:makotodash2:20220226174609p:plain

相手が桂馬で紐付けて6六金と王手でプレッシャーをかけてきた場面。
同玉とは取れず、下手な対応をしていると不利になってしまう。

図2

f:id:makotodash2:20220226174752p:plain

6八王と逃げてから6七歩と打って確定反撃を決める。
これで金を取ってしまえば相手の攻めは薄くなりそうだ。

慣れてきたら金の利きに入る5七などへの逃げからの6七歩確定反撃でもよいです。
金のクールタイムが終わる前にこちらが打った歩で金を取れるので、時間差で相手の金の利きのない場所になると見なせます。
ただし…

図3

f:id:makotodash2:20220226175034p:plain

王を動かしてからの6七歩打ちを読んでいた相手は、歩を打たれる前に6七にカーソルを合わせて先に香車を打ち込んで確定反撃を防ぎ、攻めを継続させた。

避けてからの確定反撃は有力ゆえに読まれやすく、このような形で防がれてしまうこともあると覚えておきましょう。

 

見切り回避

リアルタイムバトル将棋はその名の通り、互いにリアルタイムで操作を実行するため、コンマ数秒のやり取りで操作が噛み合わないということが往々にして起こる。
そこで、相手の操作を予測し、そのコンマ数秒前にこちらの操作を行って、相手の操作を空振りさせるというテクニック。
タイミングが噛み合うかどうかはかなりシビアなので、確実に狙って決められるというものではなく、ダメ元でやってみたら成功するかも、くらいの使われ方になることが多い。
しかしながらカーソル位置などの情報から相手の操作をしっかり予測できれば、実戦においても窮地から脱する手段になり得る。

図1

f:id:makotodash2:20220226153039p:plain

いわゆる頭金という詰みの状況。
今度こそどうしようもないように見えるが…。

図2

f:id:makotodash2:20220226153101p:plain

後手が3九金と王を取る手を指す、そのコンマ数秒前に2八玉と操作して回避できた。
間抜けなやり取りに見えるかもしれないが、実戦で実際にこういうことはよく起こる。

これはむしろ駒を取りに行く側が気をつけるべき問題です。
勝利確定のような場面で、こうなってしまう可能性があることは頭に入れておきましょう。
ある程度読み合い要素も入ってきますが、一番確実なのはこのような回避が起こり得ない、相手の駒のクールタイム中に取りに行くことです。

 

すかし取り

見切り回避の一種。
相手の駒にこちらの駒が取られる直前に回避することで、こちらの駒を取りそこなった相手の駒を一方的に取るテクニック。
主に大駒の飛車角相手に実行する。

図1

f:id:makotodash2:20220404185026p:plain

序盤の状況。互いの角道が通っているため、どちらかが角を取りに行って角交換になる展開が予想される。
先手側が7七角と構えているのがポイント。

図2

f:id:makotodash2:20220404190450p:plain

相手から7七角成りと角を取りに来たが、その一瞬手前で8八角と引いて回避した。
これでこちらが一方的に角を取ることができるので、序盤から大きなリードを奪うことができた。

相手のカーソルを見ながら決めるテクニックで、特に序盤の角交換の際に使われることが多いです。
決まると一気に形成が傾くこともあるため、駒を取りに行く側はタイミングをずらすなどして警戒する必要があります。

 

刹那寄せ

互いの王が近い位置にいる時、互いの王が接触するいわゆる「刹那」の状態を、クールタイム的に有利な状況で発生させることを狙うテクニック。

図1

f:id:makotodash2:20220226192142p:plain

全体的に駒損が激しく不利な状況。

図2

f:id:makotodash2:20220226192259p:plain

5五飛車とあえてタダで飛車を差し出した。
相手も他の操作をしていると即座には反応できない。そこで…

図3

f:id:makotodash2:20220226192532p:plain

相手が飛車を取ってくるのを読んで、それよりも一瞬早く4六王と寄せる。
互いの王が接触する「刹那」の状態になったが、相手を読んで先に動かしたこちらの方が一瞬早く王を動かすことができるため、先に相手の王を取って逆転勝利できる。

いわゆる「刹那」の状態は、王同士が近い時に突発的に発生することがあり、そうなった場合はどちらが先に自分の王で相手の王を取るか、というタイミング勝負になります。
危険ではあるものの、一気に勝負がひっくり返る可能性があるため、不利な状況においては相手の手を読んで積極的に狙っていく価値があると言えます。
逆に有利な側は相手のこのような行動に気をつけて、慎重に王を動かす必要があります。

 

ディレイ操作

リアルタイムバトル将棋は基本的に早く操作した方がいいと思われがちですが、待ち(ディレイ)をかけた方がよい場面もあります。
クールタイムが絡む場面が典型的。

図1

f:id:makotodash2:20220226153907p:plain

後手玉を激しく攻め立てている場面。
3四の桂馬を4二に成り込んでいくことができるが…。

図2

f:id:makotodash2:20220226153929p:plain

慌ててすぐに成り込んだ場合。
4三の成り銀のクールタイムがまだ残り5秒なので、この4二の成り桂はヒットアンドアウェイの動きができる王で取られてしまう。

図3

f:id:makotodash2:20220226153952p:plain

4三の成り銀のクールタイムが残り3秒になるまで待ってから4二桂成りとした場合。
この場合は4二同玉とできない。

このように、こちらの駒を早く動かしてしまうと、動かした駒に対して相手側の操作が早く実行できてしまうため、待った方がいい場合があります。
こういった場面では、駒を取る、取らないである程度操作の読み合いも絡んできます。

 

ディレイ封鎖

ディレイ操作の応用。
あえて相手の王に退路を用意しておき、相手がそこに逃げる直前に封鎖して、取れる状態にしてしまう。
人読みが関わってくるテクニック。

図1

f:id:makotodash2:20220226192702p:plain

相手の王が積極的に前に出てきて、王手がかかり少し窮屈になっている状況(銀のクールタイムは残り6秒)。
唯一の逃げ場である6四に逃がさないように、6五歩と突く手が見える。

図2

f:id:makotodash2:20220226192831p:plain

6五歩と退路を封鎖した。
これで部分的には詰みの状況だが、少し追い詰めた程度では簡単には寄らないのがリアルタイムバトル将棋の王。

図3

f:id:makotodash2:20220226192946p:plain

相手は7三銀と引いて王の退路を作り、8四玉と逃げて凌いだ。
早期に退路を封鎖すると、圧迫された相手は別のルートで退路を作ることを考える。

図4

f:id:makotodash2:20220226193209p:plain

最初の場面に戻って、こちらが6五の歩を突いていなければ相手の王は6四に逃げるだろう、という読みで相手が6四玉を指す直前ギリギリのタイミングで6五歩を指す。
読みが当たった場合、クールタイム3秒同士でこちらの歩の方が一瞬先に動いて王を取れるため、これで勝ちが確定する。

かなり読みが関わってきますが、成功すれば一気に勝ちに持っていけるため強力なテクニック。
相手の指し筋や心理を読んだ上で成立するテクニックといえます。

 

ディレイ歩

ディレイをかけて支えの歩を指すことで、相手の同玉を誘い、刹那差で王を取れるようにするテクニック。
ディレイ封鎖と同様、上手く決めることができると一気に勝ちに持っていくことができます。


図1

f:id:makotodash2:20220401185813p:plain

激しい中盤戦の場面。
3三金(もしくは2三金)+3四歩(2四歩)と支える手が見える。

図2

f:id:makotodash2:20220401185841p:plain

中央付近での駒のやり取りをこなしつつ、3三金と指した。
3四歩の支えが見えているので、相手は同玉と取ってはいけない場面だが、ここで3四歩と指すのを遅らせるのがポイント。

図3

f:id:makotodash2:20220401185855p:plain

3四歩を遅らせたことで、支えがないと踏んだ相手は隙のできる3三同角ではなく3三同玉の操作を実行。
3三同玉を読んでこちらが一瞬先に3四歩を突いていたので王を取って勝負を決めることができる。

RTB将棋の対戦にある程度慣れたプレイヤー同士の場合、支えが利く状況では警戒して迂闊に同玉とはしませんが、ディレイをかけることによって同玉を誘える場合があります。
相手の心理の隙を突く実戦的な手段で、普通に支える場面と使い分けできると良いです。