リアルタイムバトル将棋・一目のしのぎ集

リアルタイムバトル将棋では詰みが起こりにくく、本将棋では詰みの局面であっても工夫次第で切り抜けることができます。
本記事では問題形式でリアルタイムバトル将棋ならではのしのぎ方をいろいろまとめてみました。
この問題集で鍛えておけば、実際の対戦中にピンチになった時に瞬時にしのぐ判断ができるようになるかもしれません。これらが全て一目で解けるようになれれば完璧です。

※リアルタイムバトル将棋のルール
・駒の動きなど基本的なルールは本将棋とほぼ同じ。
・先手後手の概念がなく、互いに一度に何手でも指してよい。
・ただし一度動かした駒(打ち込んだ駒を含む)にはクールタイムが発生し、同じ駒を連続して動かすことはできない。
・クールタイムは王歩3秒、香車桂馬4秒、金銀飛車角各種成り駒が6秒。ただし駒が成った直後は成る前のクールタイムが適用される(例えばと金は最初だけクールタイム3秒)。
・詰みの概念はなく、直接王様を取った時点で勝ち。

画像で駒の右上に表示してある水色の数字がクールタイムです。数字が表示されていない駒は動かせる状態。
実際のプレイにおいては一定の操作速度が必要になりますが、ここではだいたい一手に一秒かからない程度で操作できるという想定とします。
実は駒を取られる直前に逃げるという最終手段のしのぎ方があるのですが、今回はそれは考慮せずそれ以外の方法で考えてください。


第一問

ヒント・いきなり頭金ですが大丈夫です。クールタイムのことを思い出してください。

第一問・解答(クリックで表示)

正解は7九玉。
王様のクールタイムは3秒なので、一旦逃げてから次のクールタイムが終われば8八の金に取られる前に再度動いて逃げ切ることができます。

 

第二問

ヒント・局面自体は先ほどと全く同じですが、クールタイム状況が異なります。

第二問・解答(クリックで表示)

今回は7九玉では8八金のクールタイム終了の方が早いので逃げきれません。8七金のクールタイム6秒に着目し、8八玉と大胆に取りに行くのが正解です。
王様はクールタイム3秒なので、例え相手の駒の利いている場所であってもその駒がクールタイム4秒以上であれば飛び込んでも平気なのです。
金二枚で追いつめられていたはずなのにあら不思議、次に8七の金まで取れてしまいますね。

 

第三問

ヒント・応用問題です。クールタイムをよく見ましょう。

第三問・解答(クリックで表示)

正解は8七玉。
実戦でもこのように金駒二枚に追い詰められるというケースはよくありますが、クールタイムの短くなっている方を王様で取りに行くのが正解です。間違って8八の金を取ってしまうと負けです。
詰みの場面以外でもこれを瞬時に判断できるようになれば相手の攻めをいなしつつ相手の駒を全部取ってしまえるので大変強力です。

第四問

ヒント・援軍の銀に着目。

第四問・解答(クリックで表示)

正解は8七銀からの8八玉。
支えになっている8七の金を銀で取ってしまえば8八の金はタダになります。
このように2枚の駒で相手の攻めをいなす連続取りもリアルタイムバトル将棋の対局においては非常に重要で、これで一気に形成がひっくり返ることもあります。

 

第五問

ヒント・応用問題です。

第五問・解答(クリックで表示)

正解は8七桂馬からの8八玉。
やることはさっきと同じなのですが、実はちょっとだけ難易度が高いです。
何故かというと銀よりも桂馬の方が操作入力に必要な量が多くて手間取ってしまうためです。駒の操作によってクールタイムが間に合うかどうかが変わってくるので、実戦ではそこも考慮に入れる必要が出てきます。

 

第六問

ヒント・更に応用問題です。

第六問・解答(クリックで表示)

正解は7七歩で角道を開けて8七角と金を取ってからの8八玉。
これは開き王手などにも通じるのですが、リアルタイムバトル将棋では間にあるのが自分の駒であれば利きは常に通せるものだという発想が大事です。
7八に歩があっても8七に角が利いているんだという感覚が持てるようになるといいのですが、本将棋の感覚があるとそこがなかなか難しいところかもしれません。
操作も忙しく、ここまでできればほとんど上級者の領域と言っていいかもしれません。

 

第七問

ヒント・持ち駒に歩があります。

第七問・解答(クリックで表示)


8九玉では逃げきれません。正解は8九歩。
リアルタイムバトル将棋における重要手筋、確定反撃です。
後から打ち込んだ歩の方がクールタイム差で先に動くことができるので、次に8八歩と金を取ってしまえばしのぐことができます。
状況によってはクールタイム4秒の香車や桂馬でも決めることができますが、猶予がかなり短いので難易度が上がります。

 

第八問

ヒント・香車の利きをなんとかしたいです。

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8八金のクールタイムが3秒になっているので、今から8九に歩を打っても確定反撃が間に合いません。
ここでは香車の利きを遮断する8七歩が正解。利きを無効化してから8八玉です。

 

第九問

ヒント・応用問題です。

第九問・解答(クリックで表示)

角の利きを遮断する7七歩を入れてからの8八玉が正解。
このように遠距離から利かせている駒に対しては間に駒を差し込むことで遮断できるので、開き王手などとは真逆の発想で、利きが通っていても通っていないものにすることができます。

 

第十問

ヒント・唯一遮断ができない駒、桂馬に対してどう対処しますか。

第十問・解答(クリックで表示)

同じように離れたところから利かせていても、桂馬だけはその利きを遮断することができません。この特性ゆえにリアルタイムバトル将棋では非常に強力な駒なのです。
また、8七に歩があるせいで8九の確定反撃も打てません。
ではどうするか、ここでの正解は7七歩
8八の金に確定反撃ができないのであれば、そこに利かせてある7六の桂馬に確定反撃をすればいいのです。間接確定反撃ですね。

時間的には際どいものの、先に7六歩と桂馬を取ってからの8八玉でしのげています。
これは非常に難易度が高く、上級者でもとっさには見切って指せないと思います。
遮断ができない桂馬に対して特に有効な手段になりえる、ということを覚えておいていただければと。

 

第十一問

ヒント・一種の応用問題です。

第十一問・解答(クリックで表示)

これも間接確定反撃に近い発想。7八歩が正解です。7八同金ならクールタイム6秒が発生するので8八玉と取れるようになります。そのまま放置ならもちろん7七歩からの8八玉。
こうやって時間を止めて局面だけを見れば分かりやすいんですけど、実戦で咄嗟にやるとなるとなかなか難しいです。
ちなみにですがこの局面の場合9七歩成りとやられると今度こそ完全に詰みの状態になって負けです。
9八玉から逃げる手を消すために配置した歩でしたが、金か銀にしておけば良かったです。

 

第十二問

ヒント・ここからは連問形式です。追い詰められて逃げ道がないように見えますが…。

第十二問・解答(クリックで表示)

逃げ道がないなら作り出してしまえばいい。
9五歩と突いてからの9六玉で逃れています。
なお、9五歩を完全に読まれていた場合は9六玉の前に9五同歩と取られて相手の歩の方がわずかに早く先に動けるため王様を取られて負けになる可能性があります。

第十三問

ヒント・先ほどの局面から相手が9五歩と取ってきました。依然ピンチですがまだしのげます。

第十三問・解答(クリックで表示)

9四歩で香車を遮断してからの9五玉。
リスクはありますがこういう場面では先に9五玉を入れてから9四歩と打つような手もあります。
手順前後にはなりますが先に9四に歩を打ち込むよりもその方が全体の操作量は少なくて済むので、十分な操作速度が出せる上級者は好んでそちらを選ぶ傾向にあります。

第十四問

ヒント・9四香、9三歩と支えてきました。9四香を見てから先にこちらが9三に歩が打てていれば前方に抜け出せていたのですがもう無理です。

第十四問・解答(クリックで表示)

まだ粘れます。9六玉と引いてから即座に間駒の9五歩。
じり貧のように見えるかもしれませんが、こうやって粘っている間に相手玉に仕掛けた王手が通ったりするので少しでも粘って時間を稼ぐスキルは重要です。

さて、最終となる第十五問は上の局面の続きでそのまま考えてください。
次に相手から9五香、9四歩とくるのが見えています。

第十五問・解答(クリックで表示)

正解は8九歩。
第十一問と同様で強制的に馬を動かすための一手。
ここから8九同馬なら8七が安全になるので8七玉。
歩を取らない7七馬や7八馬であっても馬にクールタイム6秒が発生するのでやっぱり構わず8七玉。
香車で王様を取ることを優先してくるなら8八歩で馬を取ってから8七玉。

時間的に際どく、タイミングよく8六歩と突いてこられるような手もあるので怖いのですが絶望的な局面からでも諦めなければこのようにしのげることもある、ということです。




ということで今回は以上です。
こういう発想があるんだっていうことを理解しておいてもらえれば、実戦で同じような場面が出た時にあまり考えることなく指せるようになるんじゃないかと思います。
負けそうな場面で負けない、っていうのは勝負において凄く大事なことなので是非マスターしてほしいですね。それでは!