本将棋の格言から見るリアルタイムバトル将棋

将棋には様々な格言が存在しますが、本将棋とは似て非なるゲームであるリアルタイムバトル将棋においてその格言は有効なものとそうでないものとがあります。
この記事ではそれらを順に紹介しつつ、両者における考え方の違いについて説明してみたい思います。

 

 

リアルタイムバトル将棋でも有効な本将棋の格言


居玉は避けよ


本将棋では初期位置から王様を動かさないと有効な囲いが組めないため、一部の急戦策を除いては避けるのが普通です。
リアルタイムバトル将棋においては囲いの有効性は低いため、作戦によっては居玉のままというのもなくはありません。
しかし最強の駒である王様を活用するという意味では下段のままよりは前に出す方がやはり有効と言えます。
カーソルの初期位置が王様になっていることもあって、初手5八玉と王を前に出す手を指すプレイヤーは多いです。

 

王手は追う手・玉は包むように寄せよ


どちらもだいたい同じような意味で、一方向から王手をしながら王様を追っていっても逃げられてしまってあまり有効ではないので、包囲するように攻めるべしという格言。
リアルタイムバトル将棋においてもこの格言はかなり重要で、退路封鎖の発想を持つことは大事です。

 

玉は下段に落とせ・中段玉は寄せにくし


こちらも寄せに関わる格言。将棋の駒は前に進むものが多いので、相手の王様が下段にいるほど攻めやすく詰ませやすいです。
クールタイム3秒の王様の前進力は非常に強力なので、捨て駒などで王様を下段に誘導する手は本将棋以上に重要だと思います。

 

一歩千金・歩のない将棋は負け将棋


意味としては微妙に異なりますが、一番弱い歩という駒の重要さを説いた格言。
リアルタイムバトル将棋では本将棋よりも歩の価値が高いので、この格言の重要さは本将棋以上です。
支え、確定反撃などに使用する非常に重要な駒なので、いかに切らさずに立ち回るかが一つの焦点と言えます。

 

敵の打ちたいところに打て


めちゃくちゃ重要な格言。
手番制ではないリアルタイムバトル将棋においては、この格言の重要さは本将棋の比ではありません。
相手が支えたい位置に先に打つ、確定反撃をされる前に駒を打って防ぐなど、対局の要所要所においてこの格言を実行することになります。
リアルタイムバトル将棋においては「敵の打ちたいところに敵よりも先に打て」。
操作の速度や精度というアクション的な意味も強く、本将棋の格言とは若干意味が異なっているとも言えます。

二枚換えなら歩とでもせよ


例え大駒を捨てるような手であっても、相手の駒2枚と交換できるのならすべしという格言。
さすがに本将棋では大駒の代わりに歩ともう1枚では割に合わないことがほとんどだと思うので、若干大げさな表現です。
しかしリアルタイムバトル将棋ではこの格言の考え方が完全に有効になり、状況によっては大駒と歩2枚の交換ですら成立します。
本将棋よりも大駒の価値が低く、歩の価値が高いリアルタイムバトル将棋ならではと言えるでしょう。

 

 

リアルタイムバトル将棋ではあまり有効ではない本将棋の格言


玉飛接近すべからず


王様と飛車が近い位置にいると両取りをかけられて飛車を取られることが多くなるので避けた方がいいという格言。
両取りをかけられても両方の駒を逃がすことができるリアルタイムバトル将棋では、そこまで気にする必要はないと言えます。

玉の守りは金銀三枚

金銀三枚を用いることで有効な囲いが組めるという格言。
矢倉や美濃囲い、穴熊など有名な囲いは金銀三枚を用いるものが多いです。
リアルタイムバトル将棋では前線で王様を積極的に活用するために囲いそのものが基本的に使われません。
「玉の守りは不要」…はさすがに極端ですが、「玉は臆さず柔軟に立ち回れ」といったところでしょうか。

 

金底の歩岩よりも固し


主に下段において金の下に歩を打つことで特に横からの攻めに対して強固な形にできるという格言。
リアルタイムバトル将棋においてはそもそも飛車を交えた横からの攻めがあまり強くないことに加えて、下段に歩を打ってしまうとその筋で歩が使えなくなるというデメリットの方が大きいように思います。
追い詰められた状況で金の支えとして歩を打つことはありますが、本将棋ほど有効な格言ではないと言えるのではないでしょうか。

 

と金の遅速


と金を作っての攻めは時間はかかるが有効だといった意味の格言。
リアルタイムバトル将棋ではと金を作る過程自体はかなり早いものの、一旦できたと金はクールタイム6秒になってしまうため、これをゆっくり寄せていく攻めはかなり時間がかかってしまいます。
また、クールタイム6秒の駒は動かすだけで隙ができるので歩や王様で対処されやすいという弱点もあるため、と金を作ってじっくり攻めるというのはあまり有効ではないように思います。
ただし相手からの有効な攻め筋がないような場面であれば、作ったと金で相手の駒を少しずつ剥がして優勢を築くといった使い方では有効だと思います。

 

両取り逃げるべからず


両取りをかけられた場合、どちらかを逃がしたところでもう片方の駒は取られてしまうので、他の有効な手を指した方が良いという格言。
実際には重要な駒を逃がした方がいい場合もありますが、考え方としてはとても重要。
リアルタイムバトル将棋でこの格言が通用しないのはもはや周知の通りですね。
両取りをかけられても両方を逃がすことができるので、「両取り両方逃げるべし」です。
ただし、両方の駒を逃がすためにはそれなりの操作量が必要になるため、状況によっては片方だけを逃がしたり、本将棋同様どちらも逃がさず他の操作をするといった判断もあり得ます。

 

 

今回は以上です。改めて本将棋の格言を調べてみると、案外リアルタイムバトル将棋にも通用するものがあっておもしろいです。
紹介したもの以外だと「遠見の角に好手あり」なんかも通用しますかね。

個人的に思いついて最近気に入っているリアルタイムバトル将棋の格言は「香車は歩の前に打て」です。
本将棋だと歩の後ろに打つことが多いんですけど、リアルタイムバトル将棋だと歩の前に打つ方が有効なことが多いと感じています。
あとは金底の歩のところで少し触れましたが、下段に歩を打つと後で困ることが多いので「下段に歩を打つな」。

格言という形で有効な手段を言語化するとプレイの際のイメージに繋がると思うので、他のプレイヤーの皆さんもmyリアルタイムバトル将棋格言を考えてみてはどうでしょうか!