リアルタイムバトル将棋第二回銀星戦振り返り

令和五年の5/5、岐阜県岐阜市にあるショッピングセンター、マーサ21内の会場にてリアルタイムバトル将棋のタイトル戦である銀星戦の栄えある第二回が開催されました。


rtbs.jp

 

銀星戦について詳しいことは前回の記事を読んでもらうのが手っ取り早いかと思います。

makotodash2.hatenablog.com

 

昨年7月以来の大きな大会で、普通の一般客のみなさんの目にも極めて止まりやすい会場でかつてないボルテージの高さがありましたね。

 

 

MCを務められた岐阜ご当地タレントのやながせゆっこさん。
終始笑顔で安定感抜群のMCでしたね!
初めてお会いするのにインタビューの受け答えのやりやすいことといったらなかったです。

 

同じく岐阜アイドルの蜂蜜★皇帝の皆さん。
以前からこのゲームには何かと縁がありましたが今回は本当に本格的なサポート体制って感じで頼もしかったです!
開幕からライブで盛り上げてくださってメンバー自ら会場でチラシ配りまで。

 

そしてなんといっても今回、公式アカウントの発信代行で大会の状況をどんどん流してくださったのがとても良かったですね。

メンバーの皆さんの魅力も同時に発信できてるので一挙両得感ありますね!
このおかげもあって今回自分では大会中あまり写真や動画を撮らなかったですw

そして特別ゲストとして将棋界から杉本昌隆八段室田伊緒女流二段のお二人が。

プロ棋士の視点からの解説、トークで終始大会を盛り上げていただけました。
今回の大会は敗退した選手が次の試合の解説役に回るというシステムでしたので、私を含めた選手一同は両先生と会話で絡むという大変貴重な機会をいただくことができました。


さて会場なんですがはちペラの皆さんの活躍もあってか、かなり早い段階からお客さんが結構埋まり始めていまして、小さなお子さんからご年配の方までその年齢層の広さがまず凄いと思いました。
通行客のみなさんも時折足を止めてご覧になられたりしていまして、この会場の熱気はとてもよかったですね。
そしてVIP席も用意されていまして、そこには県議会議員の方や会場となったマーサ21の社長、大会の模様を生放送された地元ケーブルテレビ局CCNの代表取締役などそうそうたる顔ぶれが。
あらゆる方面から全力でこの大会を盛り上げようという強烈な岐阜パワーを感じましたね。


さてそれでは挑戦者決定トーナメントから振り返っていきます。


配信と合わせてご覧ください。

www.youtube.com



一回戦第一試合 やましゅ選手 vs 星野良生選手

初っ端の対戦ということで両者とも若干固さはあったのかなと思いました。
一本目はやましゅ君側が、三本目は星野先生側がそれぞれ操作ミスや遅れで王手を処理できずに負けるという展開になったのでお互いちょっと危ない試合運びでしたでしょうか。
特に三本目は星野先生の序盤の積極的な攻めが炸裂してやましゅ君がかなり不利だったのですが、切り返し方が上手かったので相手のミスを誘えたといえるかもしれません。

youtube.com

星野先生側の8五歩突き捨てを交えた攻めが機敏で、やましゅ君側がややまずい金銀の動かし方をしてしまいました。
ただその後の6七玉7六歩の反発がよかったですね。

 

一回戦第二試合 飛車ちゅう選手 vs 公人直人選手

この対戦カードは公式戦では初だったでしょうか。お互い大会出場がしばらくなかったこともあって展開は結構予想しにくかったですね。
一本目は飛車ちゅうさんがじわじわと駒得して優勢になりましたが無理せず慎重に立ち回る展開。
ただそれが若干消極的だった面もあったため、公人さんに一瞬の隙からトライを狙われて逆転模様に。
しかし公人さんが最後の場面で致命的な手順前後をしてしまい、飛車ちゅうさんがそれを冷静にとがめて勝利、といった感じでした。

youtube.com

公人さん側の王様を踏み込んでからの6七歩がめちゃくちゃ好手で、これで6八の金を取ってから6九玉という手順でほぼほぼ勝ちだったのですが、先に6九玉を指したため6七歩の紐が外れてしまって相手玉で取られ、本来取れるはずだった6八の金で王様が取られてしまいました。
これは間接的な安全地帯が見える上級者ゆえに起こってしまった見落としという感じでしたね。例え金が利いていても自分の駒で先に払ってしまえるから6九は安全だ、っていう感覚が見えてしまうんですよ。
逆転まであと一歩だっただけにこれは本当に悔しかったと思います。
2本目の試合は早めの段階で公人さん側がやや不用意に王様を動かしてしまった結果王様同士の刹那が発生し、王様で相手の王様を取って飛車ちゅうさんが勝ち上がりを決めました。

 

一回戦第三試合 鷺宮ローラン選手 vs まこと’選手

試合の前にまずコントローラー設定の件でやたら時間がかかってしまって申し訳なかったです…。
決定ボタンとキャンセルボタンが入れ替わってしまって、それがどうしても直らなくって10回以上再起動するような状態に。
前回タイトル戦の時もこういうことがあったので今後自分でもちゃんと対応できるようにもっと気を付けたいと思います。皆さんすみませんでした。

試合の方ですが、終わった後のインタビューでも話させてもらいましたがローランさんとは昨年末あたりから一番よく対戦をさせてもらっていたので、今回特に対策を考えて挑ませてもらった相手でした。
ローランさんの王様を使った入玉力は本当に脅威でして、トライルールとの相性は抜群。練習では度々苦汁をなめさせられていました。
で、こちらの基本的な駒組としては早めに8筋(配信画面でいうと2筋)の歩を突いて8七(2三)に金を上げておくというもの。8筋の位を取られると王様と角を交えた早い攻めが発生するのでそれを防ぐ意図です。
そこから後は基礎的な操作速度等のやり取りでは若干こちらに分があると思っていましたので、有利な形を作ったり端からの攻めを交えたりして崩していく構想でした。
1本目も2本目もだいたい想定通りの戦い方ができたかなと思います。

2本目は途中からトライを狙えると感じたので、5筋に持ち駒を打ち込んで王様の移動ルートを確保。
王様の位置的にこれで勝ちだろうと思っていて実際勝ったのですが、終わってから飛車ちゅうさんに指摘を受けまして一緒にリプレイを見させてもらっていたら、あれ、負けてた?ってなってました。

youtube.com

こちらとしては位置関係的に有利という認識で、後は5九に歩を打ち込まれて王様がそれに噛み合ってしまって負けるというパターンだけを警戒していました。
なので5九に銀を成り込んで先に埋めてから安全に王様を移動させるという動きをしています。
しかしこの瞬間銀のクールタイム6秒が終わるまでトライができない状態になったので時間が結構微妙なことになっちゃったんですよね。
このタイミングでローランさんが最速で6三か4三に王様を動かしていたら結構ギリギリの勝負になっていた可能性があります。
私が指すべきだったのは5九ではなくて6九への銀成りで、そこから6八玉とすれば歩に噛み合うこともなく、斜め移動で直接トライを狙うことができて確実に勝ちでした。
トライルール自体をあまりやってないこともあってここは考え方の甘さが出た場面でしたね!結構危ないことをしちゃっていました。
しかもよく見たらローランさん側が途中で5三に歩を打っているので5九歩を警戒する必要はありませんでした。万全の勝ちを拾いにいったつもりでしたがまだまだ甘いです。

 

一回戦第四試合 アルファ選手 vs ko_ta選手

マチュア代表枠の2名であり、中学二年生と小学四年生という若い2人による対戦です。
会場の何も知らない一般のお客さん方はさぞほのぼのとした対戦が繰り広げられるのだろうと想像したかもしれませんw
ところがどっこい、2人ともめちゃくちゃ強いのです。アルファさんは他のプロ達と実力帯的にはほぼ変わらないレベル、ko_ta君にいたってはプロ達よりも強く優勝候補ですらあります。

2人ともこんな大きな舞台での大会は初めてなので少なからず緊張もあっただろうとは思います。ko_ta君は指が震えて上手く操作できないところもあったとインタビューで話していましたね。しかしプレイ内容はおおむねいつも通りで2人ともとてもいい動きができているなと思いました。この舞台で堂々とプレイできるのだから大したものです。
やはり内容的にはko_ta君が圧勝ではあったのですが、アルファさん側も駒の動きはよく見えていて、持ち味である粘り強い受けを随所で見せられていたのがとても良かったですね。
並のプレイヤーであればko_ta君の強烈な攻めの前には何もできずに一方的に負けてしまうところですが(私でもたまに何もできずに一方的に負ける)、しっかりと受けて簡単には負けないところはさすがです。

youtube.com

冷静に根元の支えた歩を銀で払ってからの7七玉。
続く相手6六角にも即座に反応して6七歩の確定反撃と綺麗な受けの手順です。
今回の大会では一回戦で優勝候補に当たってしまったのであまり活躍の場がなかったアルファ選手ですが、これからますます伸びてくるプレイヤーだと思ってます!
れお君やko_ta君が凄すぎるだけで中学二年でこれだけ強いって時点で本来十分に凄いんですよw
同年代のやましゅ君との対戦なんかも見てみたいですね。


さて一回戦が全て終了しまして、勝ち残ったのはやましゅ選手、飛車ちゅう選手、まこと’選手、ko_ta選手となりました。
実はko_ta君以外の顔ぶれには共通点がありまして、過去に行われた3回のタイトル戦におけるそれぞれの準優勝者なんですね。飛車ちゅうさんが電棋戦、やましゅ君が第一回の銀星戦、そして私が挑神戦。
この四人の中から誰が挑戦者になるのか、大会もいよいよヒートアップしてきました。

 

準決勝第一試合 やましゅ選手 vs 飛車ちゅう選手

お互い棋力の高さからくる丁寧な立ち回りが持ち味という印象の2人。
中盤のしのぎ合いからどちらが抜け出すかという展開が見どころとなりました。
一本目はやましゅ君の歩と飛車ちゅうさんの王様の動きが完全にかち合ってしまう展開で飛車ちゅうさんとしてはかなり痛い一敗。
しかし一本を取り返して1-1となり、3本目は終盤でお互いがトライを狙い合う展開に。やましゅ君側が王様の位置的にはかなり有利でしたが、飛車ちゅうさんが自陣に歩や香車をまきびしのごとく打ち込んでやましゅ君の王様の進行速度を遅らせたのが上手かった。

youtube.com

これで速度差がギリギリ逆転して飛車ちゅうさんが際どく先にトライ。決勝進出を決めました。
トライルールに対する理解度、アプローチの仕方という点ではこの大会を通して飛車ちゅうさんが一番上手かったのではないかと思います。さすがパズラーって感じです。

 

準決勝第二試合 まこと’選手 vs ko_ta選手

出ました年齢格差マッチ。私が44歳、ko_ta君が9歳なので驚きの35歳差です。
実は今回この試合をやりたくて一つの目標にしていました。
大会前にko_ta君とは何回か練習で連戦をしていましたがとにかく強い。でもだからこそこちらも全力をぶつけられる相手なのです。この舞台で試合をして、そしてなんとか勝ちたいなと思っていましたね。
ko_ta君とはこの日初めて会いましたが想像通りというか想像以上にというかとにかく小さくてかわいらしいお子さんです。プレイの外では大人と子供でこちらがいろいろサポートしたり成長を見守る側なのですが、一旦プレイが始まってしまえば盤上においては立ち向かうべき強敵、壁という存在に変貌します。まさにesportsの醍醐味って感じがします。

さて肝心の試合の方なのですが、この試合はあまり何も考えずに挑んで流れで指していましたね。普通のことをやっていると地力で負けてしまうので少し違うことをやってその中で自分のペースをアドリブで掴んでいこう、というような考えでした。
結果としてはこれがよくなくって、慣れない形になった結果むしろこっちのペースが乱れてしまって序盤から無駄に駒損をするような手を指してしまいました。振り返ってみても反省しきりです。

一本目は押されながらも途中で仕込んだ5九の香車の開き王手で一発逆転を狙うも防がれて万事休すという試合に。

www.youtube.com

ここしかないという勝ち筋を潰されてしまってはどうしようもありませんでした。
凄い物量。

二本目は序盤のミスから不利状況だったので普段やらないような指し筋からの玉上げに活路を見出しますがそれが相手玉と噛み合って約0.2秒差の負け。
結果的には負けでしたがko_ta君側からしても結構ギリギリの危ないタイミングだったので発想やタイミング自体は悪くはなかったかもしれません。ただそんな非常手段を用いないといけないような状態にしちゃってる時点でまず良くなかったですね。

 

挑戦者決定戦決勝戦 飛車ちゅう選手 vs ko_ta選手

ついに決勝戦です。
この二人の対決も実は結構ドラマティックな要素を秘めているといいますか。
実はko_ta君がこのゲームを始めたきっかけとなったのが、いいすぽという番組でこのゲームの大会を視聴したことなのです。
そして、第二回のいいすぽ大会で圧勝により優勝したのが飛車ちゅうさん。
ko_ta君は録画したその時の大会をなんと数百回も繰り返し視聴したという逸話があります。間違いなく日本で一番多く見ていると思いますw
当時のko_ta君にとってのヒーローだった飛車ちゅうさんとこの場で対決…これは熱いですよ。
ちなみにこの2人は大会数日前に練習で初めて対戦されたそうです。

勝戦は2本先取の2セット先取形式で行われます。
一本目の開幕直後、早速飛車ちゅうさんが技を見せつけます。

youtube.com

8八の角を取りにきたko_ta君の角をギリギリで9七角と回避、一方的に角得の状態にします。相手の大駒をすかして取るこのテクニックは飛車ちゅうさんが特に得意にされています。
この試合、直前の試合で敗退した私が解説役として席についていましたが、開幕直後すぎてこの技が炸裂した瞬間は実はちゃんと見ていませんでした。
なので試合が終わってから飛車ちゅうさんに「まことさん!見てくれましたかあの角!」って言われて「えっ、どの角ですか?」ってなりましたw
これで本来であればかなり優勢になるはずなのですが、ko_ta君がすかさず9五歩と角の隙を狙っていったのが好判断。角を逃がすのが難しくなった飛車ちゅうさんは6四角と捨てざるを得なくなり、結果的に駒の損得はほとんどなくなりました。

飛車ちゅうさんいわくあの角が最大の見せ場だった…というくらいko_ta君側が終始優勢に進めて4本連取のストレート勝ちを決めました。
飛車ちゅうさん側としてはko_ta君の厳しい動きに対して無難に戦っていては無理と見てギリギリのところを突いていったのだと思いますが、クールタイム的に王様が間に合わない場面で動いてしまって取られるというパターンが多かったですね。

youtube.com

ちょっとでも有利なら見逃さず確実に取ってくるko_ta君側の動きが完璧だったともいえます。成桂で王様を取った3本目の試合では約0.1秒の有利を見逃さずに取りきり。4本目では動かしにくい桂馬でしっかりと王様を取りました。

ということで銀星戦挑戦者は小学生プレイヤーのko_ta君に決定!
正直これは下馬評通りといっていいです。オフライン会場でも強かった。

休憩を挟んでいよいよ銀星戦の本戦が始まります。
タイトル保持のれお君がついに登場。
今回のれお君には相当なプレッシャーがかかっていたのではないかと思います!
まず地元開催ということで否が応でもかかってくる期待。
相手は初めての年下。
しかも直前の大会では負けていることもあって実力的にはほとんど互角のレベル。
更にはko_ta君は挑戦者決定戦を勝ち上がってきて勢いづいていますがれお君は本日ここから初めて試合に臨まなくてはいけません。
試合が始まる前にローランさんと話しましたがれお君のプレッシャーは相当なものだろうという認識で一致していました。

さて今回のタイトル戦は七番勝負。
分かりやすくいうと2本先取の4セット先取になります。
かなりの長丁場になります。一本一本が濃密な試合、それをかなりの回数こなさなくてはいけません。
これは過酷ですよ。若い二人、特に小学生のko_ta君がこれに挑む姿はちょっと心配になるくらいで、これはある意味児童虐待なのではないかなんて軽口をたたいたりしながら選手一同モニターの前に釘付けになって観戦しておりました。

 

観戦する我々の姿を後ろで観戦していたはちペラの皆さん。


銀星戦本戦の解説役は全て星野先生が担当。
解説に慣れてらっしゃいますし、岩田さんとのコンビも長く、ゲストの両プロとも面識があるので最適の人選ですね!

第一セット一本目。
れお君側に判断ミスがあったか、序盤から金を取られて馬を作られる展開に。
そのまま不利状況を覆しきれずまずはko_ta君が勝利。
もうこの時点でこれは大変な勝負になるぞと思いましたね。

2本目はトライ勝負になりますが6九と5九に二枚の銀を配置して手厚く守ったれお君が一枚上手だった。

youtube.com

この2枚銀に加えて4七の銀まで守り加わってくるので大変堅牢でした。
位置的にはko_ta君の王様の方がかなり前に出ていたのですが、この突破に手間取っている間にれお君の王様が先にトライ。

第一セット3本目は超大激戦。
そろそろれお君にもエンジンがかかってきて本領を発揮してきた感じがありました。
しかし対するko_ta君も一歩も譲りません。
一進一退の熾烈な攻防が続き、残り100秒を切ってもどちらが有利なのか分からないほどでした。

youtube.com

しかし最後はれお君が何とか攻めを繋ぎきっての勝利。第一セットをまず取ります。
解説の星野先生がこれは七番勝負にふさわしい対決だとおっしゃっていましたが全く同感でした。超超ハイレベルです。

第二セットではまずれお君が開き王手で一本を取り、次の試合では互いに争点を作りにくい駒組となったために引き分け再試合となりました。

お互いの志向や判断によってはこの後引き分けを何度も挟む可能性も十分にありましたが、この日はこの一回だけでしたね。お互いにやはり攻めが持ち味で積極的です。

再試合となった2本目は一転して激しいぶつかり合いとなりますが途中でれお君の4三桂成りが決まって優勢に。
しかしko_ta君も必死に粘ります。そこでとんでもないプレイが飛び出しました。

youtube.com

まさかの自分の玉を相手玉にぶつける6三玉。
これについては先日ツイートで解説を行いましたのでそれをちょっと貼らせてもらいます。


これは本当に凄かったですね。
私含め観戦していた選手達もみんな驚いて、最初はミスかと思ったけどどうも狙ってやったらしいぞということが分かるにつれて、とんでもないプレイだったということが実感できてきました。
リアルタイムでこのプレイが見られたのはもう大興奮ものですよ。この大一番で凄いことをやってくれます、れお君。

これでれお君が2セット連取。ko_ta君側も決して悪くないどころかものすごいハイレベルな手を連発しているのですが、それでもこのスーパープレイで俄然れお君に勢いが傾いてきたように思えました。

第三セット一本目、ko_ta君が5七にと金を作る展開に。
ここでれお君側に判断、もしくは操作のミスが出て王様がタダで取られる状態になってしまいko_ta君がまず一本先取。
続く2本目もれお君が王様を横に移動させて成り銀を取るだけという場面で斜めに入力をしてしまって角で王様を取られて負けてしまいます。
激しいぶつかり合いの場面ならまだしも、ほとんど何も起こっていない場面での操作ミスだったのでちょっとれお君らしからぬプレイでしたね。
ちょっと不安の残る落とし方でko_ta君にセットを献上してしまい、これでセットカウント2対1となります。

気を取り直して第四セット。
1本目はれお君が2筋付近で上手い攻めを通して優勢になりそのまま勝利。
2本目は観戦側が一種のエラーでクールタイムが表示されなくなるというアクシデントが発生しますが、試合そのものは通常に進行して最後はれお君が飛車の利きを活かして勝利。
これで3対1となりタイトル防衛に王手をかけました。

ko_ta君にとっては負けられない、踏ん張りどころとなる第五セット。
しかしれお君完全にエンジンがかかっています。
1本目、中盤のやり取りの段階から解説しきれないほどめちゃくちゃ上手い手を連発してko_ta君玉を追い詰め、更に自身はトライも狙えるという状態に持ち込んで盤石の勝利。

2本目、ついに後がなくなったko_ta君ですが一歩も引きません。中盤のやり取りで優勢を築き手厚い布陣にします。
れお君側は駒不足となり細い攻めをなんとか繋ごうとしますが、最後はko_ta君の桂馬の操作速度の前に敗れます。

youtube.com

攻めが細いだけに多少の無理が必要だったれお君。
桂馬の利きに飛び込みますがこれは成立しそうだと思ったはずです。
棋譜ログによるとko_ta君の6三の桂馬が動けるようになるのは103.5秒、れお君の王様が動けるようになるのは103.8秒です。
桂馬という駒は動かすのが難しいので多少の猶予があっても駒を取りきれないことが多いのです。並のプレイヤーが相手であればこれは十分成立していたと思います。しかしko_ta君はこの場面でわずか0.3秒の猶予で桂馬を動かして王様を取りきりました。上手すぎです。
ちなみにko_ta君の操作は一般的なゲームパッドのスティック操作です。なんでこんなに早く正確に動かせるの…。

ついでなのでここで選手達が使っていたデバイスの画像を。

れお君のやつだけ映っていませんが、上に写っているキーボードとだいたい似た感じです。
ko_ta君のは右下の青いゲームパッド
ちなみに私のは一番小さい黄色いやつです。画像だけ見たらこれがko_ta君のコントローラーだなってみんな思いそうですよねw

さてでは試合の話に戻りましょう、勝負の第五セット3本目。
角交換などのやり取りから一瞬の隙を見つけて2三銀と打ち込んだのが機敏な一手となり、3四の飛車を取ってれお君がやや優勢に。
状況としてはまだ中盤の入り口あたりでしたがここで決め手が飛び出しました。

youtube.com

ko_ta君側が2枚の角を引いて駒の利きが少なくなっていたタイミングでした。
4四銀と何も利いてない場所への打ち込み。これが決め手となりました。
このあと3三桂成りとしてから桂馬の空いたスペースに4五歩と打ち込んで銀に紐づけるのが見事な収束手順。

これで一気にko_ta君玉を追い詰めます。
最後の場面、厳密にはまだ2五歩からの2四玉があるため完全な詰みではありませんでしたが、その前にれお君が飛車で王様を取って勝利となりました。
これまで速度を活かしたリアルタイムバトル将棋らしい決着が多かったですが、最後の最後で将棋的な、一種パズルのような鮮やかな収束手順が飛び出しましたね。
星野先生は逆算した詰将棋みたいだと評されていました。

これにて銀星戦は終了!
れお君がタイトル防衛に成功しました。
最強挑戦者の登場で今回こそはついに危ういかと思いましたが、終わってみればさすがの強さでしたね。
れお君、初登場以来賞金のかかった大きな大会ではこれまでただの一度も負けたことがありません。驚異的な勝負強さです。(獲得賞金総額これでいくらになったんだろうw)
そして敗れたとはいえ、ko_ta君のプレイも本当に素晴らしかったです!
この画像だけ見ると大差ですけれど内容的には本当に紙一重で一歩も退いてなかったです。
これがオフライン大会初参加ですよ!むしろこれからまだ成長することを思うと末恐ろしいと言いますかw
これからも名勝負を繰り広げていってほしいですね。

ということで今回の振り返り記事は以上です!
関係者の皆さんありがとうございました。